2020.11.18

【SNS分析】自殺報道から考えるデマ情報や憶測を拡散させるまとめサイトの影響度と対策

【SNS論調分析】自殺報道から考えるデマ情報や憶測を拡散させるまとめサイトの影響度と対策

コロナ禍において、デマ・憶測・フェイクニュースが増加している。ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)によると、コロナ禍になってからFIJ公式サイトへのアクセス数が何十倍にもなり、世の中の関心も高まっているという。

コロナに限らず、今年に入ってから相次いだ芸能人の自殺報道においても、デマや憶測の拡散が確認された。中には全く関係がない芸能人に対して「自殺を図ったのではないか」と推測するような悪質な投稿もあった。

デジタル・クライシス総合研究所は今回、デマや憶測が拡散されていく経路や拡散のきっかけとなっているサイトを調査した。調査結果を踏まえて企業がデマ・フェイクニュース対策として準備しておくべきことや対策をまとめた。

 

自殺報道に関連するデマ・憶測情報

三浦春馬さんの件では、所属事務所の公式発表の中で「憶測による報道や、事実ではない情報に基づく誹謗中傷など」とこの問題に触れている。

三浦春馬さんに関するお知らせ

 

代表的なデマ・憶測情報をいくつか紹介する。

 

1.テラスハウスの放送作家である堀田延氏に関連する内容

テラスハウスの放送作家である堀田延氏が三浦春馬さんに対して暴言を吐いているという内容だが、その後に本人が公式ブログ上で「事実誤認」であると説明。
ブログ内でアカウントは二ヶ月前に削除済みで、第三者がなりすましで立ち上げたTwitterアカウントからの発信であると説明している。

テラスハウスの放送作家である堀田延氏に関連するデマ テラスハウスの放送作家である堀田延氏に関連するデマ

 

2.三浦春馬さんが安倍政権に暗殺されたと断定する内容

「GoToキャンペーンから国民の目を逸らせたかったのだろうが、唐突に三浦春馬の命を奪うなんて許せない」「三浦春馬は安倍晋三に暗殺された」などと主張するツイートもあった。情報のソース元や根拠が不明であり、ツイート主の憶測で投稿されている。右側のツイートに関しては、いいね1,651、RT882となっており、多くの人の目に触れている。

三浦春馬さんが安倍政権に暗殺されたと断定する内容 三浦春馬さんが安倍政権に暗殺されたと断定する内容

 

3.嵐の松本潤さんも自殺を図ったのではないかと連想させる内容

嵐の松本潤さんも自殺を図ったのではないかと連想させる内容が影響力のあるアカウントから発信され、Twitterで拡散。(位置情報の欄に記載されている)ツイキャスの最大同時視聴者数の更新、YouTubeチャンネルの登録者数120万人達成など、各動画配信サイトで多くの人から支持されているネット配信者・YouTuberとして有名なコレコレ氏が「松潤もクローゼットまじ?真実なのか…?」とTwitterのプロフィールに書き込み炎上。

嵐の松本潤さんも自殺を図ったのではないかと連想させるデマ情報

 

竹内結子さん報道の流れと拡散を助長するサイトの存在

直近で報道された竹内結子さんの件でもデマ・憶測の拡散がみられた。今回は、この件に関してアナリティクスツールを使って分析した。

 

調査概要

■調査ツール:TDSE提供のソーシャルアナリティクスツール「Netbase」を使用
■調査対象:竹内結子さんに関連する報道
■調査キーワード:「竹内結子」AND「自殺」
■調査期間:9/26~9/29
■Twitterデータ:Decahoseデータを100%にスケーリングして使用(※)
■取得言語:日本語

※Decahoseとは、ツイートデータの10分の1の母集団のことです。10分の1のデータを実態に近い数値にスケーリング(拡張)しています。
※その他の仕様は「Netbase」の仕様に準拠します。

 

竹内結子さん報道の流れ

9/27の午前8時頃に速報が流れ、そこから情報の拡散が始まっている。投稿数のグラフをみると、二次的な盛り上がりはみられていないが、拡散していく過程でいくつか気になるサイトが確認された。

竹内結子さん報道の流れ

 

9/27 8:00~
マスコミが速報を発表(読売新聞は「クローゼット」と記載
していたが、その他のメディアは記載なし)
※自殺報道ガイドラインに違反する報道が多数みられた(読売新聞、時事通信、アエラドットなど)

 

9/27 8:31
5ちゃんねるでスレッドが立ち上がる
【悲報】竹内結子 自殺
https://lavender.5ch.net/test/read.cgi/keiba/1601163095/
直後(8:44)に、「他殺」という憶測が投稿される

9/27 08:49
日テレNewsの公式Twitterアカウントが動画付きのツイートを投稿


RT1.6万、いいね1.9万、フォロワー数16.7万(動画は500万回以上再生されている)

9/27 13:14
「ツイッター速報」が産後うつではないかという憶測を投稿


RT629、いいね1,414、フォロワー数19万

9/27 15:45
「まとめダネ」に他殺などの憶測情報をまとめた記事が掲載される
Twitter上でまとめダネを引用したツイートが拡散
https://matomedane.jp/potato/page/60852


RT207、いいね632、フォロワー数2.2万

9/27 18:34
「アノニマスポスト」が憶測をまとめた記事をツイート


RT1,126、いいね2,777、フォロワー数9.4万

9/28 16:26
主犯は安倍政権・菅政権であるというデマ情報が投稿される


RT330、いいね691、フォロワー数1.8万人
「世界銀行300人委員会」というアカウントから投稿されている

9/28 18:34
自宅の場所と「自殺の可能性は低い」というツイートが拡散


RT597、いいね1,317、フォロワー数9,031人
「片山徹」というアカウントから投稿されている

 

拡散を助長するサイト・アカウント

拡散経路の調査を行った結果、「ツイッター速報」というまとめサイトが拡散されている傾向がみられた。Twitterアカウントのフォロワー数は19万であり、ツイート内には「産後うつ」という憶測が含まれていた。

ツイッター速報 ツイッター速報

「まとめダネ」というまとめサイトも拡散されている傾向がみられた。「まとめダネ」内のページは10/22時点で101,753viewとなっており、多くの人の目に触れたと考えられる。憶測を助長させるようなタイトルがつけられている。

まとめダネ まとめダネ

 

「アノニマスポスト」というまとめサイトも拡散されている傾向がみられた。Twitterアカウントのフォロワー数は9.4万人となっており、こちらも憶測を助長させるようなタイトルとなっている。

アノニマスポスト アノニマスポスト

拡散していく過程で「ツイッター速報」「まとめダネ」「アノニマスポスト」というまとめサイトの記事・ツイートが拡散している傾向がみられた。推測や憶測を助長するようなタイトルが付けられており、明確な根拠や引用元となっているサイトの情報が少ないため、誤解を与えやすくなっている。

速報以降に、続報を準備するために警察の捜査情報や関係者への取材で確実な情報を得ようとするニュースメディアの続報よりも、まとめサイトが憶測で書いた根拠のない記事の方が早く公開され、拡散している。

 

【参考】メディアの報道内容

報道による自殺の誘引を防ぐためにWHO(世界保健機関)が「自殺報道ガイドライン」という基準を公開している。厚生労働省のウェブサイトに日本語訳されて公開されている。

※「メディア関係者の方へ」ページからダウンロード可能

自殺報道ガイドライン 自殺報道ガイドライン 自殺報道ガイドライン

内容を確認すると、「クローゼット」「首つり」などの情報が記載された報道は自殺報道ガイドラインに違反している可能性があることが分かる。

自殺報道ガイドライン

※厚生労働省HP「メディア関係者の方へ」ページから引用

芸能人の自殺報道においては、実際に自殺報道ガイドラインが守られていない報道が多数みられた。具体的には、ネット上で「首つり」「クローゼット」などの情報が記載された記事が多数みられた。

三浦春馬さんの報道で自殺報道ガイドライン違反

時事通信の記事には「自宅の寝室で首をつった状態」と記載あり、AERAdot.の記事には「クローゼット内で竹内さんが首を吊って」と記載がある。さらに、読売新聞の記事には「クローゼットの中で首をつった状態」と記載がある。

竹内結子さんに関する時事通信の報道

 

竹内結子さんに関するAERAdotの報道 竹内結子さんに関する読売新聞報道

メディアにより報道内容にずれがあり、読売新聞や時事通信などで「首つり」や「クローゼット」などの具体的な情報が記載された記事が確認された。これは自殺報道ガイドラインに違反する可能性がある。実際に自殺報道ガイドラインを守っていないことを指摘する投稿も多数存在する。報道内容の違いや自殺報道ガイドラインを守らない報道が憶測やデマを生むきっかけになっているのか、検証していく必要がありそうだ。

 

デマ・憶測・フェイクニュースに対する対策

調査の結果、拡散を助長するまとめサイトの存在の影響力の大きさが明らかになったが、取り上げた3サイト以外にもまとめサイトは存在している。重要なのはこれらの調査結果を対策につなげることである。デマ・憶測・フェイクニュースに対抗するの策として以下の3点を挙げておきたい。

 

1.早期発見ができる体制の構築

2.調査~事実関係の発信を24時間以内に対応

3.第三者へのファクトチェック依頼

 

まず「ツイッター速報」「アノニマスポスト」「まとめダネ」など、憶測やデマの拡散を助長するまとめサイト及びまとめサイトのTwitterアカウントを定期的にウォッチして、早期発見・早期対応ができる体制を構築することが肝要である。

 

次に拡散源の調査や事実関係の調査や拡散経路のモニタリングを行い、場合によっては公式サイト上に企業公式見解を掲載したり、反論記事や検証記事をメディアに掲載する動きも必要になる。※メディアが放映・記事化するまでのスピードは24時間以内が21.4%のため、24時間以内の対応が望ましい(デジタル・クライシス総合研究所調べ)

 

第三者へのファクトチェック依頼も有効である。シエンプレが加入するFIJにデマ・憶測・フェイクニュースの情報提供窓口があり、FIJ加入のメディアパートナーがファクトチェックを行って記事を公開してくれる可能性がある。

 

 

この記事を書いたライター

編集部

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