2020.09.11

熊本地震で拡散したデマ・フェイクニュースの傾向とは?

2016年4月、熊本県で最大震度7を観測する地震が発生しました。
震度6強・弱の大きな余震が異常とも言えるほど何度も襲い多くの死者や負傷者、避難民が出る大災害でした。

熊本地震で人々の不安が高まっている中ネット上では熊本地震に関するデマ情報が拡散され、大きな問題となりました。そこで今回は熊本地震で拡散されたデマ情報を振り返りつつデマ・フェイクニュースの見抜き方や傾向をご紹介します。

熊本地震でどんなデマがあったのか

熊本地震後、ネット上ではさまざまなデマが回りましたが代表的な事例と言えばライオンが脱走したという情報です。前震の直後、Twitterで「被災地に動物園からライオンが逃げた」という内容のツイートが投稿されました。

そのツイートには、地震のせいで投稿主が住む場所の近くにある動物園から放たれたという内容の文章と共に市街地の車道の真ん中を歩くライオンの画像が添付されていました。

当時、被災地の避難所では多くの人々が集まって最新情報を集める中デマを見つけて信じてしまった人は多くTwitterでもたった1時間で2万件を超えるリツイートで拡散されています。被災者に対して、より多くの不安を与えることになりました。

なぜ拡散したのか

多くの人がデマ情報の信憑性を感じた理由は、添付された写真にあると考えられます。実際に市街地を歩くライオンの写真を見た人は危機感から周りの人たちに知らせないといけないという善意の気持ちを持ったことでしょう。

熊本地震の被災者の中には、救出や救援物資人探しなどの情報を求めてSNSをフル活用していた人も多く支援したい気持ちから情報を拡散に協力する人が多くみられました。

しかし、危機的な状況を多くの人に知らせる活動が結果的にデマ情報を拡散させてしまう要因になったのだと考えられます。

被害の範囲や概要

ライオンのデマツイート後、実際にライオンを飼育していた熊本市動植物園には投稿の翌日だけでも100件以上の問い合わせが殺到しました。

動植物園への電話は前身から約30分後にあったようなので投稿から瞬く間に拡散されていたことが想像できます。園内では事務系職員5人が問い合わせの対応に追われたことで緊急連絡にも支障が出たそうです。

そして、熊本県警は2016年7月に偽計業務妨害容疑として問題ツイートを投稿した神奈川県在住の当時21歳の男性を逮捕します。その男性は、2017年3月に起訴猶予の処分が下されました。

ライオンの事例から学ぶデマの見抜き方

熊本地震のように災害時は特にデマが回りやすい傾向があります。根拠のないデマ・フェイクニュースに踊らされてしまわないためにもデマの見抜き方を知ることが大事です。例えば、ライオンが脱走したことが事実であれば周りの人に危険を知らせなければならないので動物園側が公式で情報を発信するはずです。

しかし、ライオンの事例ではそんな事実はないので公式の発信はなく一般人の投稿だけが拡散される結果となっています。本当に発信しなければならない信憑性のある情報は、必ず公式の発表や情報源があります。情報源や正確なデータがないまま発信されている情報は拡散前に一度冷静になって情報の事実を確認した方が良いでしょう。

また、ライオンの画像をよく見ると、縁石に撮影された通りの名前が刻まれていました。そこを調べてみると日本ではなく実際は南アフリカで撮影されていたものだと特定されています。

画像や動画はネット上から簡単に取得できまた最近はアプリで誰でも簡単に加工ができるのでそのようなものを掲載してフェイクニュースを発信しているケースも多いです。画像や動画も一緒に投稿されているときはよく見て違和感や不審な点がないかどうかもチェックしておきましょう。

新型コロナと熊本地震のデマの傾向

新型コロナに関しても、感染の不安からいろいろなデマが回っています。どちらも恐怖や危機感を煽るようなセンセーショナルな内容が特に拡散されやすいです。しかも、拡散される原因は注意や情報を広めたい人々の善意にあります。

誰もが「まさか」と思ってしまうほどに曖昧でも重要性のある情報は事実確認がおこなわれないまま情報が出回ってしまう傾向があります。そのデマ情報は時に大きな被害を生む可能性もあることを理解しなければなりません。
そして、一人ひとりが情報を拡散する前に事実を確認することがデマ情報の拡散や被害を抑えることにつながります。

フェイクニュースが原因で死亡事件も?事例をまとめてみた

トイレットペーパー不足のデマ~マスコミ報道の影~

編集部からのコメント

2016年の熊本地震で拡散したデマに関してご説明をしてきました。
逮捕された21歳の男性はまさか自分が逮捕されるなんて投稿時には思いもしなかったことでしょう。軽い冗談のつもりでも、世の中に大きな影響をあたえてしてしまう可能性があることを強く認識することが必要です。

特に、震災などで世の中に不安が広がっているときは「早く情報を伝えてあげたい」という善意から真偽検証されぬまま情報が拡散されてしまう傾向が強いです。

フェイクニュースを発信しないというのはもちろんのこと情報を受け取ったときも情報を横流しにするのではなくまずは自身で事実確認をすることが大切です。
 
 
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編集部

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