「千葉県八街市児童5人死傷事故」まとめサイトの誤情報から無関係の企業が誹謗中傷の対象に 企業がすべき対策とは
2021年6月28日、千葉県八尾市の市道で下校途中だった小学生たちがトラックにはねられ、児童5人が死傷するという痛ましい事件が起こった。
自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで現行犯逮捕されたのは、トラック運転手の梅沢洋容疑者(60)。その呼気からは基準値を超えるアルコールが検出された。
その日のうちに容疑者の勤務先関係者が報道陣の取材に応じ、謝罪文を公式サイトに掲載した。
しかし、容疑者の勤務先とは全く関係のない企業に「人殺し」といった誹謗中傷や事件の問い合わせの電話が殺到し、業務に支障が出ているという。
誹謗中傷された要因
「電凸」と呼ばれる嫌がらせの電話が殺到する事態に発展した理由は、インターネット上の誤情報が原因だった。
誤情報は事故発生の翌日にアップされた「まとめサイト」にあった。まとめサイトには、容疑者の勤務先が「南部株式会社である」と記載されていたのだ。しかし、実際の容疑者の勤務先は「南武株式会社」。
※6/29に南部株式会社が事実無根であるという文書を公式サイトに掲載してからは投稿数が減少した
■調査ツール:TDSE提供のソーシャルアナリティクスツール「Netbase」を使用
■調査対象:「南部株式会社」に関する投稿
■調査キーワード:「南部株式会社」「トラック」 「事故」
■調査期間:6/28~7/12
■取得言語:日本語
※Decahoseとは、ツイートデータの10分の1の母集団のこと。10分の1のデータを実態に近い数値にスケーリング(拡張)して調査。
※その他の仕様は「Netbase」の仕様に準拠
※まとめサイトにアップされた謝罪文
今回、誹謗中傷の対象となってしまった「南部株式会社」と、漢字の一文字違いであり、また業務内容も業界に詳しくない一般ユーザーには似ているようにみえてしまうかもしれない。
後日、まとめサイトは訂正文を掲載していたが、そこから派生したと想定されるツイートも多数存在した。
※Twitterより引用
問題視されている「まとめサイト」
まとめサイトのほとんどはアフィリエイト広告が組み込まれており、PV数が多いほど収入が得られる。そのため、人々が関心のあるテーマを早くアップするすればするほど、アクセス数を稼げる可能性が高い。
企業ではなく、副業として個人で運営しているサイトも多いため、虚偽の情報かどうか、記事の内容が第三者にチェックされることなく、全世界へ発信されてしまうのである。
こうしたインターネット上の誤情報は問題視されおり、2017年に起きた「東名高速道路あおり運転事故」や2019年の「常磐自動車道あおり運転殴打事件」、記憶に新しいところでは、「茨城県境町の家族殺傷事件」でも全く無関係の人物や企業が犯人扱いされ問題となった。
対策
今回、誹謗中傷被害にあった南部株式会社は、事故が起きた翌日には公式サイトに文書をアップし、事実無根であるという声明を出した。即座に文書を出す必要があるほど、被害が大きかったことがうかがえる。
※南部株式会社の公式サイトより引用
我々は、一つの事象から飛び火して別の個人や企業へ被害が及ぶことから「飛び火炎上」「飛び火デマ」と呼んでいる。今や社会問題となっているこの「飛び火炎上」に対する企業の対策としては、フェイクニュースを早期発見できる体制作りが重要といえる。
まとめサイトやTwitterはもちろん、YouTubeやTikTok、Instagramといった動画プラットフォームが炎上の発生源となるケースも多くなっているため、これらを定期的に監視する体制を構築することが早急である。
監視する方法としては、「アラート機能」が備わった収集ツールを導入することをおすすめしたい。収集ツールを導入することで、自社に関連する投稿数の増加や危険ワードが含まれた投稿を検知すると、指定のアドレスにアラートが飛ぶように設定できる。
また、事件が発生してから、24時間以内にニュースが放映・記事化されるため、(デジタル・クライシス総合研究所調べ)「飛び火炎上」「飛び火デマ」の当事者となってしまった場合は、24時間以内に企業公式の声明や検証記事を出すことが望ましい。
※シエンプレが扱うSNS・WEBモニタリングサービスの概要資料は以下からダウンロードできます。