2021.10.13

河野太郎氏が「毛沢東バッジを着用」というフェイクニュースが拡散 偽情報が拡散した要因と対策

河野太郎氏が「毛沢東バッジを着用」というフェイクニュースが拡散 偽情報が拡散した要因と対策

自民党総裁選挙を間近に控えた2021年9月、候補者の1人である河野太郎氏に関するフェイクニュースがネット上で拡散された。

それは、「河野氏が中国の王毅外相と一緒に毛沢東バッジを付けている」というものだ。毛沢東バッジは、中国への愛国心を表すものであり、バッジの着用が真実だとしたら中国政策への影響が懸念される。もちろん、拡散された情報はデマであり、河野氏本人も自身のYouTubeチャンネルなどで否定した。

なぜ、このようなデマが拡散されてしまったのか、時系列や要因・対策について考察したい。

着用を断定しないもののリプライで非難され拡散

デマ情報が拡散される要因となったのは、Twitterの投稿だった。9月21日に河野氏と中国の王毅外相が並んだ写真と共に「河野氏が付けてるバッジ中国の王毅外相と同じバッジのように見えるがどんな意味のある何のバッジなんだろうか?」というツイートがされた。

このツイートに対し、「毛沢東バッジではないか」というリプライ(返信ツイート)がされ、リプライ欄は、バッジの着用を信じ、批判する声が多く挙がった。

毛沢東バッジのフェイクニュース

※Twitterより引用

元のツイート自体は毛沢東バッジであることを断定するものではなかったが、デマを拡散するユーザーには、同じような意見、思想を持つフォロワーが多い傾向がある。今回のケースでいうと、河野氏に敵対心を持つ者がデマツイートを行ったユーザーの中に多く含まれる可能性がある。そのため、引用ツイートなどの拡散過程で「毛沢東バッジである」と断定するような流れになってしまったことが考えられる。

投稿数の推移

※調査概要を基に編集部作成

■調査ツール:TDSE提供のソーシャルアナリティクスツール「Netbase」を使用
■調査対象:毛沢東バッジに関する投稿
■調査キーワード:「河野太郎」「毛沢東」「毛沢東バッジ」
■調査期間:9/21~9/28
■取得言語:日本語
※Decahoseとは、ツイートデータの10分の1の母集団のこと。10分の1のデータを実態に近い数値にスケーリング(拡張)して調査。
※その他の仕様は「Netbase」の仕様に準拠

そして、このツイートは、5,172 件のいいね、2254件のリツイート(2021年10月11日時点)と、多くの人に拡散され、「毛沢東バッジ」がYahoo!JAPANリアルタイム検索で、「毛沢東バッジ着用」というキーワードがTwitter でトレンド入りするほどの大きな話題となった。

選挙など世間の関心が高いイベントほどフェイクニュースが出やすい

ツイートされた画像の真相は、毛沢東バッジではなく、ASEAN(東南アジア諸国連合)+3(日中韓)外相会議において、セキュリティチェックのために警備対象者に配られたバッジであり、会議に参加していたほぼすべての閣僚たちが着用していたという。しかも画像は4年も前の2017年に撮影されたものだった。

今回の事例のように、政治や選挙など、世間の関心が高く、個人によって思想が異なる事柄においては、反対派や敵対心を持つ相手からデマ・フェイクニュースを流されやすいという傾向がある。

弊社の顧問であり、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授である、山口真一氏によると、「真実よりもフェイクニュースのほうが拡散される」研究結果があるという。また、政治フェイクニュースに接触した人のうち、81.2%が偽情報だと気づいていないということが研究により、明らかになっている。

 

グラフ

※国際大学グローバル・コミュニケーション・センター Innovation Nippon 調査研究報告書より引用
(フェイクニュースを偽情報と気付いていない人の割合)

 

上記の図を見ればわかるように、フェイクニュースには年齢関係なく、誰でも騙される可能性があるのだ。

偽情報の拡散により、選挙であれば投票数に影響が出る可能性があるように、企業であれば商品・サービスの売上や企業イメージに影響を及ぼすのである。

フェイクニュースの拡散を止めるには

拡散されたニュースが偽情報であるならば、早急に「事実無根である」という公式文書を出すことが重要である。そして、疑惑を持たれている事柄が複数あったとするならば、すべてに解答すること。世間が求めるアンサーをしなければ、アンサーがなかったことがさらなる炎上の火種となるのだ。

こうしたフェイクニュースが拡散する前に、偽情報を早期発見し、迅速な対応をすることが一番の対策といえる。
その為の方法として、WebサイトやSNSのモニタリング・監視ツールの導入やPRなどに起用を検討するタレントなどの過去の発言や行動などを洗い出し、将来的な炎上リスクまでの予測する「クリエイティブリスク診断」などを推奨したい。

 
 
 
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