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2021年4月、アルバイト従業員が不適切な動画をSNSに投稿したとして、有名カレーチェーン店の運営会社が謝罪した。

さらに同月、大手宅配ピザチェーンの運営会社もアルバイト従業員の行動に対し、公式サイトに謝罪文書を掲載。

いずれも、アルバイト従業員が勤務する店舗で悪ふざけをした様子を撮影し、その動画をInstagramのストーリーに投稿。第三者に拡散され、炎上する事態となった。

デジタル・クライシスに発展するリスクとして、数年前から問題となっている「バイトテロ」はなぜ、撲滅できないのか。

その要因や企業がすべき対策について考えたい。

バイトテロとは

ここ数年、幾度となくニュース番組やネットニュースの話題となっている「バイトテロ」。

バイトテロとは、アルバイト従業員が勤務している店舗の商品や業務で使用する用具などを使った悪ふざけを撮影し、その写真や動画をTwitterやInstagramなどのSNSに投稿。投稿を目にした第三者に拡散されることにより、炎上する現象である。

飲食店で発生するケースが多く、バイトテロが原因で企業や商品の信用、ブランドイメージは大きく失墜する。

バイトテロの歴史

バイトテロの歴史は以外と古く、2013年にステーキ店やコンビニエンスストアのアルバイト従業員が冷蔵庫に入った姿を撮影した写真をSNSに投稿し、炎上した事件があった。

同年には、蕎麦屋の従業員が食洗機に入った姿をTwitterに投稿。蕎麦屋はこの投稿がきっかけとなり、廃業に追い込まれた。そして、同年の流行語大賞には「バカッター」という造語がノミネートされ、社会現象として話題に。

近年では、定食チェーンの「大戸屋」で従業員が食材を不適切に扱った動画が拡散し、国内の全350店舗が一斉休業となったニュースが記憶に新しいのではないだろうか。

バイトテロの変化

2021年も数々のバイトテロが発生しているが、その露出源や拡散スピードは確実に変化している。

2021年に大分県にある焼肉屋「韓国苑」で起きたバイトテロと、2019年に起きた「大戸屋」のバイトテロを例に比較したい。

「韓国苑」の事件は、大学生のアルバイト店員たちが厨房で食材を無断で食べ散らかしたというもの。

行為の内容は大戸屋の事件と大差はないが、韓国苑の事件が炎上したきっかけは、事件と関係のないYouTuberの「コレコレ」氏のライブ配信だったのである。

アルバイト店員がInstagramに投稿した動画をコレコレ氏が自身のYouTubeチャンネルで取り上げ、ライブ配信中に該当店舗とアルバイトの実名、InstagramとTwitterアカウントが特定された。

韓国苑のバイトテロ

※デジタル・クライシス総合研究所の資料から引用

人気YouTuberであるコレコレ氏の動画チャンネルの登録者数は141万人。これだけ多くの人が見ているとすれば、拡散がスピードが早いのはうなずける。

また、メディアで放映されたり、記事化するスピードも変化しており、大戸屋の事件は従業員の動画投稿から約32時間。それに対し、韓国苑の事件は約13時間と、明らかにスピードアップしているのである。

また、「デジタル・クライシス白書2021」では2019年と2020年の放送・記事化までの速度を比較したページがあるが、炎上してから記事化されるまでのスピードは格段に速くなっている。

記事化までの速度

※デジタル・クライシス白書2021から引用

企業としてすべきバイトテロ対策

「仲間だけで見るつもりだった」。バイトテロを起こした当事者の多くはこう言うという。

アルバイト従業員による不適切なSNS投稿が再発してしまう大きな原因は、「ネットリテラシーの低さ」といえるだろう。

対策としては、自宅や学校など、好きな場所で受講できる「eラーニング形式」の研修を定期的に受講させ、リテラシーを向上させる必要がある。研修後はテストを行うことで、理解度だけでなく、責任感も高まることが期待できる。

例えば以下のような講座が考えられる。

No. 講座名
1 SNS利用上の注意点
2 従業員が起こした炎上例と発信者の悲惨な末路
3 自社のソーシャルメディア規定の作成
4 SNS運用ガイドラインの作成及び運用

そして、SNS利用のルールを定めること。スマートフォンは休憩スペースのみ使用可にするなど、使用できる場所を限定することも有効といえる。

早期発見・早期対応できる体制の構築を

「韓国苑」の事件のように、動画サイトが発生源となって炎上するケースは今後、増えていくだろう。

大戸屋の事例では一斉休業の影響で数億円の損失が発生している。バイトテロはブランドイメージを低下させるだけではなく売上にも影響を及ぼす。

従業員への定期的な研修ととも企業がすべき対策としては、炎上のトレンドをチェックし、監視体制を強化することである。YouTubeやTikTok、Instagramといった動画媒体の定期的なモニタリングを行い、早期発見・早期対応できる体制を構築することをおすすめしたい。
 
 
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