「ワクチン禁止令」で株価暴落のタマホームから学ぶ企業の炎上対策・危機管理体制の在り方とは
「コロナワクチンを接種した場合は無期限の自宅待機」。
この社内通達に社員たちは大きな戸惑いを抱いたという。通達を出したのは、大手ハウスメーカーである「タマホーム株式会社」の社長である玉木伸弥氏だ。自宅待機中は無給、自宅から社用パソコンへのログインも禁止だという。
さらに社員たちがオンラインで視聴した「経営方針発表会」では、「ワクチンを接種したら5年後に死ぬ」「5Gがコロナウイルスを引き寄せる」といった発言もあり、不安はますます大きくなったと想像ができる。
社員がリーク?TwitterなどのSNSで炎上
この「ワクチン禁止」ともいえる通達は、本来は社外秘であろう社内資料に記載されたものだった。しかし、不満を持つ社員からのリークがあったのか、ネットニュースに。ネットニュースには、社内資料も掲載された。
※ネットニュースになった7/20以降から投稿数が爆発的に増えている。
■調査ツール:TDSE提供のソーシャルアナリティクスツール「Netbase」を使用
■調査対象:タマホームのコロナワクチン関連の発言に関連する投稿
■調査キーワード:「タマホーム」「ワクチン」 「反ワクチン」AND「パワハラ」
■調査期間:7/21~8/3
■取得言語:日本語
※Decahoseとは、ツイートデータの10分の1の母集団のこと。10分の1のデータを実態に近い数値にスケーリング(拡張)して調査。
※その他の仕様は「Netbase」の仕様に準拠
東証1部上場企業のトップである玉木氏の思想・発言に世間も騒然となり、「労働基準法違反」「パワハラ」など、TwitterなどのSNSで炎上する結果となった。
※Twitterより引用
また、問題となった社内通達以外にも、「コロナはエボラとエイズを混ぜた人工ウイルス」と語る社内向け動画が拡散。ネットで炎上したことから、タマホームは、7月15日に「インターネット上における当社の新型コロナワクチン対応に関する誤った書き込みについて」というニュースリリースを公式サイトに掲載した。
※タマホーム株式会社の公式サイトより引用
しかし、ワクチン接種は個人の判断としながらも、接種した場合に自宅待機になるという点は否定しておらず、ニュースリリースの掲載後も批判が止むことなかった。
炎上で株式時価総額119.8億円下落
今回の事象は、社員からの信用だけでなく、株価も下落させる結果となった。7月20日時点では、3,070円だったタマホームの株価は2,756円に下落(7月26日時点)。時価総額119.8億円の暴落となった。CMに人気タレントやアーティストを起用し、培ったきたタマホームのブランドイメージも失墜してしまったといえるだろう。
炎上した際の危機管理体制を整えることが重要
タマホームの炎上では、「ガバナンス崩壊」と批判する声も多かった。あきらかなコンプライアンス違反、または異様な内容の社内資料や動画が全社に通達される前にチェックし、阻止する体制があったならば、約120億という株価の下落は防ぐことができたと予想できる。最近では、タマホームと同様に大企業である株式会社モンテローザでも組織体制を問題視される事案があった。
炎上リスク対策として、対社外に目が向きがちだが、昨今の新たな炎上リスクである「バイトテロ」のように、従業員へのリテラシー教育だけでなく、経営陣に対するネットリテラシー教育など、社内研修にも注力すべきなのである。また、社内通達や配布資料は、どのタイミングで誰がチェックを担当するのかや、炎上をふまえた危機管理マニュアルの策定などを含めたガバナンス体制を構築することが必須といえる。
経営陣のネットリテラシー教育・研修や危機管理マニュアルの策定が社内リソースでは足りない場合は、専門家や専門機関へ依頼することも選択肢の1つである。
※シエンプレが扱うSNS・WEBモニタリングサービスの概要資料は以下からダウンロードできます。