2021.02.15

話題の疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)まとめ|ミャンマーのクーデター動画/てんかんの発作と新型コロナの関連性/リコール不正署名など【2月前半】

まとめ記事2月

本稿は話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いのある情報)をまとめて紹介する企画である。

2月前半はミャンマーのクーデターに関する動画や新型コロナとてんかんによる死因の関連付け、リコール不正署名などに関する話題が確認された。概要と検証結果、企業が学ぶべきポイントを解説する。

なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。

※当サイト及び他のメディアにてファクトチェックが行われた情報をもとに作成。

 

話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)

・【動画】ミャンマー クーデターが起こっていることに気付かずエアロビクスをする女性
・てんかんの基礎疾患があるコロナ感染者男性。新型コロナによる発作が続いたのが死因
・リコール不正署名 仮に36万2千筆の90%が同一人物の不正署名なら約32万5千筆を1人で書き続けた事になる

【動画】ミャンマー クーデターが起こっていることに気付かずエアロビクスをする女性

ミャンマーでエアロビクスをしている背景にクーデターの様子が映っているとする動画が拡散した事案である。

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Twitterより

概要

日付:2月2日
発信者:匿名
媒体:Twitter
拡散数:Twitter上で2.7万件以上RT
内容:「ミャンマーでクーデターが起こっていることに気付かずエアロビクスをする女性」という動画がTwitterで拡散

 

検証結果

【検証】

「ミャンマーでクーデターが起こっていることに気付かずエアロビクスをする女性」という動画は不正確

発信者は「ミャンマーにて、クーデターが起こっていることに気付かず、日課のエアロビクスを実施してしまい、歴史的な動画になってしまった女性。」とし、女性がエアロビクスをする様子を投稿した。

もともとこの動画はミャンマーの首都ネピドー在住のエアロビクス講師Khing Hnin Wai氏が2月1日朝、自身のFacebookに投稿したものだ。

動画は国会議事堂へと続く広い道路を背景に、音楽に合わせてステップを踏むKhing Hnin Wai氏を映しているが、直後に異変が表れる。
物々しい車列が登場したかと思うとバリケードの前に集結し、警備当局とにらみ合う様子を見せているのだ。

動画が投稿されるとすぐに拡散され2.7万件以上もリツイートされたが、フェイクとする意見も多い。
動画に写り込んだ車列は要人警護のためのもので、軍用車両ではないというのが大方の意見だ。

また、Khing Hnin Wai氏の影が不自然に途切れているように見えることから合成ではないかとの見方をする人もいたが、撮影現場となった国会議事堂前のロータリーはかなりの段差があり、実際にその場で撮影が行われてことは間違いないようだ。

そのため、動画は合成ではないが背景に映るのはクーデターの様子ではないと判断できる。

以上のことから「ミャンマーでクーデターが起こっていることに気付かずエアロビクスをする女性」という動画は不正確と判断した。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回は“偶然”撮影された動画に重要なものが映っていたとされるケースだ。

撮影者本人はBBCニュースの取材に対し、

「競技会のために練習していた」
「(国会議事堂前は)気に入っている場所でいつも撮影に使っていた」

とし、過去の動画も投稿している。

また、「ネピドーでは当局の車列は珍しくないのでいつものことだと思った」として政治的な意図はないと釈明している。
実際にクーデターの様子を捉えていたのだとしたら発信者の言うように歴史的な動画となっただろう。

しかし、当事者にとってみればあらぬ疑いをかけられて、時には釈明を行わなくてはならない。

これは個人に限らず、企業にもいえることだ。
偶然の産物が企業カラーに影響を及ぼさないよう、投稿時にはしっかりとしたチェックが必要だろう。

 

てんかんの基礎疾患があるコロナ感染者男性。新型コロナによる発作が続いたのが死因

「てんかんの基礎疾患があるコロナ感染者男性。新型コロナによる発作が続いたのが死因」とする記事が投稿された事案である。

 

概要

日付:2月3日
発信者:読売新聞
媒体:読売新聞オンライン
拡散数:-
内容:読売新聞オンラインが「てんかんの基礎疾患があるコロナ感染者男性。新型コロナによる発作が続いたのが死因」とする記事を投稿

 

検証結果

【検証】

「てんかんの基礎疾患があるコロナ感染者男性。新型コロナによる発作が続いたのが死因」は誤り

 

読売新聞は2月2日時点での神奈川県内の新型コロナウイルス感染状況を伝える記事を「読売新聞オンライン」に投稿。

新たに187人の感染と30~90歳代の男女13人の死亡が確認されたとしたが、その中で

「横浜市によると、死亡した30歳代の男性はてんかんの基礎疾患があり、新型コロナによる発作が続いたのが死因だという。」

と綴った。

この内容について

「『横浜市によると、死亡した30歳代の男性はてんかんの基礎疾患があり、新型コロナによる発作が続いたのが死因だという』←まったく解せません。新型コロナで薬が切れた、ならわかりますけど、てんかん発作の直接の誘因とは、これ如何?」

と、Twitter上で疑問の声が上がった。

これに対し、読売新聞オンラインを運営する読売新聞や記事の引用をしているキュレーションメディアで速やかに訂正が行われ、死因をてんかんと関連付ける表記は削除された。
(2/15 16:00時点では記事も削除済み)

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Twitterより
3
Twitterより

 

しかし、一部のサイトではまだ訂正されておらず、確認することができる。

公益社団法人日本てんかん協会の発表している資料によると、てんかんの発作と新型コロナウイルスによる死亡との間に因果関係があるとの報告はないという。

参照:https://www.jea-net.jp/wp-content/uploads/2020/05/e36a1ffdd7d4e4db3fb3881519a23a45.pdf

Q3. てんかんのある人が新型コロナウイルス感染症になると発作が増えますか?

新型コロナウイルス感染症とてんかんのある人の発作の増減の関係についての報告はありません。
しかし、他のウイルス感染症と同様、少なからず発作への影響はあると思われます。
それはコロナウイルスが悪さをするというよりも、症状としての発熱により発作が起きやすくなると考えられるからです。
その他にも、せきや息苦しさによる睡眠不足や、水分摂取不良、食べる量が減ることによる低血糖なども発作を増やす可能性があるので、感染してしまった場合には、これらのことが起こらないように注意することが重要です。

Q4. てんかんの薬は新型コロナウイルス感染症のリスクを高めますか?

一般的にはてんかんの薬により、新型コロナウイルス感染症が増えるという報告はありません。
むしろ、てんかんの薬を中断してしまうことによる発作増加のデメリットの方が大きいと考えられるので、
てんかんの薬は継続して飲むようにしてください。

以上から「てんかんの基礎疾患があるコロナ感染者男性。新型コロナによる発作が続いたのが死因」は誤りと判定した。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回のケースは新聞社のオンラインサイトによる事案だ。

てんかんの基礎疾患を持つ人が新型コロナウイルスに感染すると、年齢にかかわらず死亡するおそれがあると受け取れる内容は多くの人に不安を与えた。
疑問の声を受けて該当部分を削除し、記事内容を訂正しているが、謝罪などはない。

また、その訂正が間に合っていないサイトもあり、対応におざなりな印象を受ける。

てんかんとは、生まれ持った性質によるものと、脳が傷ついたり障害が起きたりすることで発症する脳の病気だ。
服薬による治療で発作を収めることが可能であり、間違っても新型コロナウイルスの感染が原因で発作が続くことはない。

しかし、こういった記事が掲載されることでいわれなき誹謗中傷が起こる可能性がある。
インターネットは拡散力が高く、企業PRには便利だが、間違った情報を掲載してしまわないよう、細心の注意が必要だ。

 

 

リコール不正署名「仮に36万2千筆の90%が同一人物の不正署名なら約32万5千筆を1人で書き続けた事になる」

愛知県知事に対するリコールで発覚した不正署名報道について、「仮に36万2千筆の90%が同一人物の不正署名なら約32万5千筆を1人で書き続けた事になる」との投稿が拡散した事案である。

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概要

日付:2月2日
発信者:門田隆将(作家・ジャーナリスト)
媒体:Twitter
拡散数:2,000件以上RT
内容:愛知県知事リコール不正署名において「仮に36万2千筆の90%が同一人物の不正署名なら約32万5千筆を1人で書き続けた事になる」と投稿し拡散

 

検証結果

【検証】

リコール不正署名「仮に36万2千筆の90%が同一人物の不正署名なら約32万5千筆を1人で書き続けた事になる」はミスリード

門田隆将氏は愛知県選挙管理委員会の調査結果である「提出された約43万5,000の署名のうち無効なものが約36万2,000(約83%)あり、同一人物によると疑われる署名は約90%」との内容のニュース画像を添付し、

「仮に36万2千筆の90%が同一人物の不正署名なら約32万5千筆を1人で書き続けた事になる。住所、氏名、生年月日、捺印まで1人に1分かけ、24時間ぶっ通しで続けても226日、1人30秒でやったとしても113日要する。1人が11万筆署名との話もあるが、それでも76日。記者は選管の話に“疑問”を抱かないのだろうか。」

と投稿。

“32万以上の署名を1人で書いた”との判断の根拠は、「有効と認められなかった理由としては、▼同一人物により書かれたと疑われる署名がおよそ90%、▼選挙人名簿に登録されていない人の署名がおよそ48%などだったということです。」というNHKによる報道が元と考えられる。

しかし、多くの人は

「1人で2票以上投票したものを、同一人物の署名したものとして集計したら、32万票あったという理解をしてました。」
「90%を一人で書いたのではなく、90%の署名に重複した筆跡があったという意味だろう。」

といった反応を示している。

中日新聞の記事では、「無効のうち、約90%が複数の同一人物によって書かれた可能性がある。」と報じられており、90%を一人で書いたのではなく、複数人で90%の署名を書いたと見るのが妥当であろう。

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回のケースは企業も十分に注意が必要な事案である。

「36万2千のうち同一人物により書かれたと疑われる署名がおよそ90%」と聞き、全員が同じ結論に至るとは限らない。
“約90%の署名を同一人物が書いた”と解釈する人もいれば、“約90%が重複したものだった”と受け取る人もおり、要は書き手の問題だ。

わかりやすさを優先し、少ない文字数で相手に伝えようとすると誤解を与えかねない文章になる。
かといってあまりに丁寧すぎる文章では、まわりくどく要点を得ないものになってしまうのだ。
簡潔さとわかりやすさは決してイコールにはならず、言葉足らずな文章は読み手に誤解を与えるおそれがある。

企業でもSNSはもちろん、ホームページなどで文章を掲載する際は注意が必要だ。

この記事を書いたライター

編集部

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