2021.07.01

NIKEのCM批判から考察する 企業の広報やメディア担当者が実施すべきこと

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世界的なスポーツブランドであるNIKE(ナイキ)。

その日本法人である、株式会社ナイキジャパンが公開した動画CMが炎上・批判されていると、ネットニュースで話題になっている。

問題の動画は、2021年5月28日にYouTube上で公開された「new girl play new nike」というタイトルのCMである。

『女性の自由な生き方』をテーマにしたCM動画だが、ネットニュースや動画のコメント欄では、「女性を見下している」「女性に生まれることが不幸であるかのような表現」「もうナイキの商品は買わない」といった批判コメントが溢れていた。

しかし、このCM動画は本当に炎上しているのだろうか。

なぜならば、この約半年前に同社が公開した「動かしつづける。自分を。未来を。 The Future Isn’t Waiting.」というタイトルの動画が同じようにネットニュースで批判されていたからだ。

世界的な企業であるNIKEが炎上の可能性を承知のうえで、また同じリスクを犯すことに疑問を感じるのである。

本当に炎上しているのか?データから考察

調査概要

記事内に登場するグラフやデータについてはすべて以下の内容で調査した結果となっている。

■調査ツール:TDSE提供のソーシャルアナリティクスツール「Netbase」を使用
■調査対象:ナイキジャパンが公開した「new girl play new nike」に関する投稿
■調査キーワード:「new girl play new nike」「Nike」「ナイキ」AND「PR動画」「CM」「女性」「ジェンダー」「炎上」
■調査期間:5/1~7/1
■Twitterデータ:Decahoseデータを100%にスケーリングして使用(※)
■取得言語:日本語
※Decahoseとは、ツイートデータの10分の1の母集団のこと。10分の1のデータを実態に近い数値にスケーリング(拡張)して調査。
※その他の仕様は「Netbase」の仕様に準拠。

感情(センチメント)分析

ネガティブとポジティブの全体の割合は以下のようになっている。

上記はツールで自動精査した結果であり、参考値ではあるが、ネガティブ1.1%、ポジティブ98.9%となっており、ポジティブが圧倒的に多いという結果となった。

批判されている内容のネットニュースもあるが、実際には好意的にとっている人が多いということになる。

Twitterでは好意的な意見も

もちろん、否定的な意見もあるが、Twitterでは以下のようなツイートもあった。

「批判的な意見があるのは想定内だと思うし、結果的に話題になっているから良い広告だと思う。リスクがあっても、社会的にどんな姿勢を取るのか明確にしたNikeは勇気があるし、応援したいと思うなあ」

「これで勇気付けられる。私が進むことであとが続く。女という性別に囚われず生きていきたい」

「あなたは何になりたい?と言う言葉が強調された女性差別に反対する動画。とても良い動画であり、何より私はこれを見て嬉しく思った。気持ち悪いなどと批判は多いが、私はこの動画をこれを作ったNIKEを評価したい」

これらのツイートは、おそらく女性と思われるアカウントからであった。

企業の広報・CM担当者は必ず「クリエイティブリスク診断」を

おそらく、NIKEはセンシティブなテーマを扱うにあたり「クリエイティブリスク診断」を行ったうえで、動画を公開したのではないだろうか。

結果、各メディアで話題となり、CMとして「成功」しているといえる。

「クリエイティブリスク診断」とは

企業や商品の信用を大きく失墜させる「炎上」を回避するために、企業の広報やCM担当者、マーケターが必ず行うべきなのが「クリエイティブリスク診断」である。

クリエイティブリスク診断とは、クリエイティブやプロモーションの炎上リスクを洗い出し、許容範囲を定めること。CMや広告を制作する前に、過去の炎上事象と照合し、リスクを洗い出すチェック方法である。

クリエイティブリスク診断

※デジタル・クライシス総合研究所の資料から引用

すでにクリエイティブリスク診断を行っている企業も多いだろう。しかし、自社ではなく、外部の専門機関に依頼することを推奨したい。

なぜならば、インターネット人口の増加にともない、炎上事象の発生源はTwitterやYouTubeなど主要メディアだけでなく、情報交換のための地域情報サイトやアプリ、TikTokなどのプラットフォームなど、多岐に渡っているのである。そのため、多角的な視点からの診断が必要となってくる。

外部の専門機関と提携して炎上対策の準備を

また、インターネット環境の向上に比例して、新たなインターネットサービスが今後、続々とリリースされていくことだろう。自社だけで診断するには、リソース不足となる可能性が高いのである。

クリエイティブリスク診断

※デジタル・クライシス総合研究所の資料から引用

外部の専門機関では、クライシス対応の専門家や法律の専門家、広告制作の専門家、SNSの専門家などがそれぞれの視点から炎上のリスクを洗い出してくれる。また、リリース後に想定されるあらゆる事象の対応策を準備しておくことも可能だ。

クリエイティブリスク診断を実施したうえで、広告や動画をリリースした後は、時間単位でソーシャルリスニングを行い、デジタルメディア・マスメディア両方の動きを把握できる体制を整えておくことも重要ある。