2021.02.02

Twitterで拡散した「去年、IOCのバッハ会長が訪日した間だけ、東京都の新型コロナ感染者数が大幅に減少し、帰ったとたんに戻った」という情報は根拠不明

Twitterで拡散した「去年、IOCのバッハ会長が訪日した間だけ、東京都の新型コロナ感染者数が大幅に減少し、帰ったとたんに戻った」という情報は根拠不明

2021年1月30日、Twitter上で「去年、IOCのバッハ会長が訪日した数日間だけ、東京都が発表する感染者数が大幅に減少し、帰ったとたんに元の数字に戻った」という情報が投稿された。

本投稿は2021年2月2日の15時45分時点で919件のリツイートが行われ、2,824件のいいねを獲得している。
調査を行った結果、バッハ会長訪日中の新型コロナウイルス感染者数が操作されているという証拠はつかめなかったため「根拠不明」と判定した。

以下、今回の事象について概要及び調査結果を記載している。なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。

 

ファクトチェックの対象

去年、IOCのバッハ会長が訪日した数日間だけ、東京都が発表する感染者数が大幅に減少し、バッハ会長が帰ったとたんに元の数字に戻った。こうした事実を踏まえれば、感染者数ではなく「何人検査して何人陽性だったか」という感染率しか信用できなくなるのは当然だ。
(1/30 10:17 「@kikko_no_blog」がツイート)

 

結論

【根拠不明】
2020年11月15日から18日まで、IOCのバッハ会長が来日していたが、その期間中の東京都の新型コロナ感染者数が操作されているのではないか、という内容である。
調査したところ、11月15日は日曜日、16日は月曜日であり、毎週日、月曜日は新規感染者数が少ない傾向にあるためバッハ会長来日との関連性については疑問が残る。
また、18日は新規感染者数が485人と報告されており、決して少ないとは言えない。
その上、これらの数字を東京都が操作したという根拠も示されていないため「根拠不明」と判定した。

拡散源

対象の媒体:Twitter
対象URL:https://twitter.com/kikko_no_blog
対象ツイートURL:https://twitter.com/kikko_no_blog/status/1355505473772896261
投稿日:1/30  10:17
拡散量:リツイート919、引用リツイート27、いいね2,824

 

ツイートの画像

該当ツイート
Twitterより

 

拡散要因

・ツイートしたアカウント「@kikko_no_blog」のフォロワーが17.7万人であること
・新型コロナウイルスの感染拡大が続いているため、関心のある人が多かったこと

以上から情報が拡散したと想定できる。

 

拡散経路や時系列の動き

1/30 10:17 当該ツイートが投稿される
1/30 20:08 フォロワー数を6,773人有するアカウントがリツイート
1/30 21:18 フォロワー数を9,805人有するアカウントがリツイート
1/31 1:05 フォロワー数を4,030人有するアカウントがリツイート
1/13 10:40 フォロワー数を3,564人有するアカウントがリツイート

 

当該ツイートが投稿された後、複数のフォロワー数千人を有するアカウントにリツイートされていることが確認できた。

 

 

投稿分析

調査概要

「バッハ会長」「訪日」AND「東京都」「感染者数」で検索を行い、拡散されている投稿やキーワードを調査した。

■調査ツール:TDSE提供のソーシャルアナリティクスツール「Netbase」を使用
■調査対象:「IOCのバッハ会長が訪日した数日間だけ、東京都が発表する感染者数が大幅に減少した」という内容に関する投稿
■調査キーワード:「バッハ会長」「訪日」AND「東京都」「感染者数」
■調査期間:1/27~2/3
■取得言語:日本語

※Decahoseとは、ツイートデータの10分の1の母集団のこと。10分の1のデータを実態に近い数値にスケーリング(拡張)して調査。
※その他の仕様は「Netbase」の仕様に準拠。

以下は投稿数推移であり、30日から31日にかけて投稿数が増加していることがわかる。

投稿数推移
※調査概要を基に編集部作成

拡散ツイート

引用リツイート及びその他のツイートを分析したが、当該投稿以外に拡散している投稿は見られていない。

 

サイト別分析

Twitter以外の媒体を確認すると、「グノシー」で関連投稿が多く確認された。

次いで「アメブロ」「sinderera5news」で多く見られたが、いずれも五輪開催について主に書かれた記事であり、当該ツイートの「IOCのバッハ会長が訪日した数日間だけ、東京都が発表する感染者数が大幅に減少した」という主張は見当たらなかった。

サイト別
※調査概要を基に編集部作成

 

調査結果詳細

当該ツイートのリプライ及び引用ツイートを調査したところ、下記のように「改竄や何かしらの操作があったのでは?」といった意見が多数見られた。

リプライ1
Twitterより
リプライ2
Twitterより
リプライ3
Twitterより

 

反対に、「そんな操作してるほど現場は暇じゃない」といった声もあった。

リプライ4
Twitterより

当編集部では当該ツイートにある、バッハ会長来日中の東京都の新型コロナ新規感染者数について調査を行った。

昨年、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が来日した際の滞在期間は11月15日~18日の4日間である。
前後も含めて、11月13日~20日の新型コロナウイルス新規陽性者数を記載する。

日付 新規陽性者数(人)
11月13日(金) 374
14日(土) 352
15日(日)  255
16日(月)  180
17日(火)  298
18日(水)  485
19日(木) 531
20日(金) 522

※数値は東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトより

 

11月15日から16日にかけては、直近と比較して感染者数が減少していることがわかる。

しかし、15日は日曜日、16日は月曜日である。
土日は検査機関が休みで検査数が少ないことから、その翌日の日、月曜日については新規感染者数も減少する傾向にあるためと考えられる。
また、17日から18日にかけては新規感染者数が増加しており、これも検査機関が稼働するウイークデーとなったためである。

このことから、IOCのバッハ会長が来日したからといって新規感染者数が著しく減少した、とは言い難い。

東京都が数字を操作したのでは、という意見もあったが、東京都は毎日の感染動向を東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトで公開している。
このサイトで公開しているモニタリング項目は多岐にわたり、データ量は膨大である。これらのデータに改竄の余地が全く無いかというと、可能性はゼロではない。
しかしながら、改竄があると断定できる情報の発見には至らなかった。

 

結論

当該ツイートに関しては、

①ツイートの内容を否定する情報が見られる
②調査の結果、IOCのバッハ会長の来日中に新規感染者数が減少したのは日、月曜日であったため
③東京都が数字を操作したことについての明確な根拠が示されておらず、想像の域を出ない

ことがわかった。

以上から「去年、IOCのバッハ会長が訪日した数日間だけ、東京都が発表する感染者数が大幅に減少し、帰ったとたんに元の数字に戻った」については「根拠不明」と判定した。

この記事を書いたライター