緊急事態宣言下での開催となった東京五輪。1年の開催延期を経て、満を持しての開催となる東京五輪だったが、作曲担当として開閉会式の制作メンバーに就任していた小山田圭吾氏が、開会式の4日前に辞任するという事態が起こった。さらに、開会式前日には開閉会式のディレクターを務める小林賢太郎氏も制作チームから解任されるという事態も発生。大きな話題となった世界的な催事であるオリンピック直前での辞任・解任劇の背景から、企業が広告やプロモーションでタレントなどを起用する際に注意すべき点を考える。
東京五輪 会閉会式制作陣の辞任・解任の背景
東京五輪の辞任・解任劇は小山田圭吾氏、小林賢太郎氏だけではない。会閉会式制作チームの一連の動きを解説する。
東京五輪 開会式作曲担当・小山田圭吾氏辞任の背景
まず、作曲担当として開会式の制作チームメンバーに参加していた小山田氏の辞任までの流れを説明する。
製作・演出チーム発表後、過去のいじめ発言が取り沙汰される
7/14に東京五輪開閉会式の製作・演出チームが発表された直後から、小山田氏の過去のいじめについての発言がネット上で話題となる。小山田氏の起用に反対する声が多く上がり、7/16に自身のツイッターに謝罪文を掲載。作曲担当は続投すると発表した。
Twitterより
辞任の原因となった過去のいじめ発言
小山田は1994年1月発行の「ロッキング・オン・ジャパン」、1995年8月発行の「クイック・ジャパン」で、自身が行っていたいじめを赤裸々に告白。小学校時代、同じクラブ活動をしていた同級生に体育倉庫で暴力を振るうなどしたことや、中学時代に朝鮮学校から転校していた同級生にも「一緒に遊んでいた」としながらいじめ行為を行っていたことを明かした。小学校時代にいじめていた同級生が障がい者であったことや、反省の意を示していなかったことなどが大きな非難の一因となった。
Twitter「 #小山田圭吾氏の辞職を求めます」で大きく炎上する
過去のいじめ発言の謝罪文を掲載したものの、開会式の作曲担当の任は続投するという発表に、Twitterでは「 #小山田圭吾氏の辞職を求めます」というハッシュタグで小山田氏の辞職を求める声が広がった。
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続投を決定するも、7/19に辞任を発表
翌7/17には、「倫理観をもって仕事をしていく」と話し、作曲担当の任を続投することが決まっていたが、7/19に自身のツイッターにて辞任を発表した。
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東京五輪 開閉会式ディレクター・小林賢太郎氏解任の背景
開閉会式ディレクター・小林氏の解任について、まず小林氏が東京五輪の開閉会式ディレクターに就任した背景から追っていく。
東京五輪会閉会式ディレクター就任の背景
当初の東京五輪開閉会式の演出は、2017年12月に発足。当社は狂言師の野村萬斎氏が責任者を務めるチームで編成されていたが、2020年12月に大会の大幅な簡素化を理由に解散。音楽制作を務める予定だったミュージシャンの椎名林檎氏も辞任した。新たな責任者に就いたのは、電通出身のクリエーティブディレクター・佐々木宏氏。しかし、2021年3月に世界的人気を誇るタレント・渡辺直美氏の容姿を侮辱するような案を演出チームに伝えたことを理由に辞任した。その後ディレクターとして会閉会式を統括していたのが小林氏である。
解任の原因
小山田氏の件が発覚した後に関係者の調査をした結果、小林氏が過去にホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)をやゆするセリフをコントに使っていたことが発覚。問題のコントはSNSなどで拡散され、7/21にはアメリカ カリフォルニア州ロサンゼルスに本部を置くユダヤ系の国際的な人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(SWC)が「反ユダヤ主義の発言」だとして小林氏を非難する声明を出すなどした。
Twitterより
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東京五輪開会式前日に解任
東京五輪開会式前日である7/22に、小林氏の解任が決定。大会組織委員会の橋本聖子会長は、「これまでの対応が後手後手に回ったことは反省している。今回は大変な問題という認識で早急に解任の手続きを取った」と述べている。
参考:https://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/20210722-OYT1T50335/
小林氏解任にも関わらず、開会式は内容を変更せずに開催された。この件に関して創作者をバカにする行為であるといったツイートが投稿され、4,000件近くリツイートされるなど話題を呼んだ。
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人材起用の際に気をつけるべき点
開催前日にまで及んだ東京五輪会閉会式の一連の辞任・解任劇で共通していることは、過去の発言・発信によるものが原因であることだ。組織委員会の武藤敏郎事務総長も、「最終的な任命責任は我々にある。全体の名簿を受け取ったとき、全部調査すべきだった」と述べている。
参考:https://www.asahi.com/articles/ASP7Q5K4DP7QUTIL02V.html
広告・プロモーションなどでタレントやインフルエンサーを起用する機会がある企業は少なくない。その際には、炎上リスクに細心の注意を払うことが重要になってくるだろう。起用後の何かしらの問題が発生し、タレントの降板やプロモーションを打ち切らざるを得ない状況になってしまう可能性があるからだ。
炎上などのリスクを未然に防ぐには、SNSなどで問題となるような発言をしていないか、不適切な写真や画像などをアップしていないかなど、細かなチェックと分析が必要だ。必ずリスク分析を行い、未然防止をしてほしい。
デジタル被害を未然に防ぐには
上記で述べたような炎上リスク対策には、専門的な視点が求められる場面も多く、過去の発言まで遡ってチェックをするには時間や人など、多くのリソースが必要となる。シエンプレ株式会社では、炎上リスク対策の課題を解決するサービスを提供している。
クリエイティブリスク診断
企業や商品の信用を大きく失墜させる「炎上」を回避するために、企業の広報やCM担当者、マーケターが必ず行うべきなのが「クリエイティブリスク診断」である。クリエイティブリスク診断とは、クリエイティブやプロモーションの炎上リスクを洗い出し、許容範囲を定めること。CMや広告を制作する前に、過去の炎上事象と照合し、リスクを洗い出すチェック方法である。
※デジタル・クライシス総合研究所の資料から引用
また、インターネット環境の向上に比例して、新たなインターネットサービスが今後、続々とリリースされていくことだろう。自社だけで診断するには、リソース不足となる可能性が高いのである。
※デジタル・クライシス総合研究所の資料から引用
タレント・インフルエンサー拒否反応調査内容
人材起用における炎上リスクを防ぐために必要な分析には、ント・インフルエンサー拒否反応調査を実施。起用するタレントやインフルエンサーのインタビューや過去の発言、ネット上の反応までチェックする。
※デジタル・クライシス総合研究所の資料から引用
リファレンスチェック
リファレンスチェックでは、活動履歴やネット上の情報を調査し、結果を分析。将来的なリスク分析を行うことが可能だ。炎上対策は、これからのリスクマネジメントとして非常に重要な役割を担うだろう。インターネットやSNSが生活に中に当たり前にある今の時代、炎上はとても身近な存在になっている。誰もが過去の情報を残し、探し、そして発信することができる。だからこそ、どんな発言が炎上し、どんなことからデジタル被害が起こるかをしっかりと予見し、未然に防いでいかなければならない。
※デジタル・クライシス総合研究所の資料から引用
外部の専門機関では、クライシス対応の専門家や法律の専門家、広告制作の専門家、SNSの専門家などがそれぞれの視点から炎上のリスクを洗い出してくれる。また、リリース後に想定されるあらゆる事象の対応策を準備しておくことも可能だ。クリエイティブリスク診断を実施したうえで、広告や動画をリリースした後は、時間単位でソーシャルリスニングを行い、デジタルメディア・マスメディア両方の動きを把握できる体制を整えておくことも重要ある。
※シエンプレが扱うSNS・WEBモニタリングサービスの概要資料は以下からダウンロードできます。