2020.11.01

話題の疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)まとめ|米大統領選/大阪都構想/GOTOトラベルなど【10月後半】

3rd Opinion 編集部
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話題の疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)まとめ

本稿は話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いのある情報)をまとめて紹介する企画である。

10月後半は米大統領選挙や大阪都構想、GOTOトラベルなどの話題に関する話題が確認された。概要と検証結果、企業が学ぶべきポイントを解説する。

なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。

※当サイト及び他のメディアにてファクトチェックが行われた情報をもとに作成。

 

話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)
・バイデン「私を選ぶなら、あなたの払う税金は増えるだろう、減るのではなく」
・「郵便投票で機械的に製造されたバイデン票が発見された」という動画がTwiitterで拡散
・北海道の中国人技能実習生は1万人以上」「占冠村人口の3割以上が中国人」
・大阪都構想 コスト1340億円
・GoTo人件費「大手出向社員に日当4万円」

バイデン氏の発言『私を選ぶなら、あなたの払う税金は増えるだろう、減るのではなく』

バイデン氏が「私を選ぶなら、あなたの払う税金は増えるだろう、減るのではなく」と発言したという内容が動画と共に拡散した事案である。Twitterに投稿され、動画内でバイデン氏が聴衆に向かって演説している風景が写っている。

バイデン『私を選ぶなら、あなたの払う税金は増えるだろう、減るのではなく』

 

概要

日付:10月28日
発信者:ドナルド・トランプ大統領
媒体:Twitter
拡散数:Twitter上で23,548RTを獲得
内容:トランプ大統領が、民主党の大統領候補ジョー・バイデンが聴衆に対して彼らの税金が「減税ではなく引き上げられる」と言っていることを示す動画を投稿

 

検証結果

【検証】大統領候補ジョー・バイデンが聴衆に彼らの税金が「減税ではなく引き上げられる」と言っていることを示す動画はミスリード

トランプ大統領が投稿した動画は、バイデン氏が「私を選ぶなら、あなたの払う税金は増えるだろう、減るのではなく」と聴衆に対し発言した後、数秒間聴衆が沈黙し感情を失ったように見える動画で、 Twitterで23,000回以上リツイートされた。動画の元となったのは、2月27日の集会でのバイデン氏の発言で、増税に関して「トランプ氏の税制の一部を廃止するが、年間40万ドル以上を稼ぐ人の個人所得税のみを引き上げる」と述べている。

減税ではなく引き上げられるとの発言は、トランプ氏の税制(減税)の恩恵を受けていると発言をした聴衆に対して直接話しているシーンであり、バイデン氏の発言後の聴衆の沈黙は実際にはなかった。

バイデン氏は引き上げる対象は、2017年の減税の恩恵を受けた高所得者と言及しており、アメリカ人全般に対してではないと繰り返し述べていたが、一部の発言のみ動画で使用され、聴衆が沈黙しているシーンを動画編集でくっつけている。トランプキャンペーンがバイデン政権が国を財政的に荒廃させると主張し続けているため、「減税ではなく増税される」と聴衆に伝えるように見えるバイデンのクリップがここ数週間広く流通している。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

企業に直接的に影響がある内容ではないが、意図的に編集されたフェイク動画が使用されているという点がポイントである。当該ツイート内には動画が埋め込まれており、動画内では確かにバイデン氏が聴衆に向かって呼びかけている様子がみてとれる。

この動画だけを見れば事実であるかのように誤解する人もいるだろう。だが、これは意図的に編集されたものであり、別々のシーンを切り取ってあたかもバイデン氏が聴衆に呼びかけているように作成されたフェイク動画なのだ。

今後、企業においてもフェイク動画に対する対策を求められる時代がやってくる。Twitter上で自社に関する動画・画像などが出回っていないかモニタリングを行い、発見次第チェックを行い事実と異なる場合は素早く公式見解を出すという行動が求められる。

 

大統領選において「郵便投票で機械的に製造されたバイデン票が発見された」

アメリカ大統領選挙において郵便投票で機械的に製造されたバイデン票が発見されたという動画がTwitter上で拡散した事案である。

大統領選挙郵便投票で機械的に製造されたバイデン票が発見された

 

概要

日付:10月31日
発信者:ジェイク・ノバック氏(アメリカ・CNBCでコラムニスト)
媒体:Twitter
拡散数:Twitterで1万件以上RT
内容:「郵便投票で機械的に製造されたバイデン票が発見された」という動画がTwiitterで拡散

 

検証結果

【検証】ノバック氏が投稿した「郵便投票で機械的に製造されたバイデン票が発見された」ということを示す動画はミスリード

ノバック氏はこの動画を「男性が郵便で受け取った投票用紙を調べているビデオ」としている。ノバック氏はこの動画の投稿前日にも「クイーンズ区の数人の住民が、製造されたバイデン票を受け取り、それを選挙管理委員会に送り返すように言われています。これは明らかに違法です」といった内容を投稿。

ニューヨーク州の選挙管理委員会はノバック氏のツイートに対し、動画の投票用紙の持ち主と直接連絡を取った上、事実ではないと否定。動画の投票用紙を受け取った有権者は、白紙の投票用紙を受け取り、記入後、投票用紙が送られてきた際に使用されていた封筒に、誤って記入済みの投票用紙を入れて投函。当然、封筒には有権者の住所しか記載されていないため再度有権者の元へ投票用紙が届いた。

11月1日の時点でアメリカでは誤りであるとされていたが、日本には誤った情報のみが伝達され5日早朝から拡散されている。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

前の事案と同様にこちらもツイート内に動画が埋め込まれており、拡散の要因になっていると予測できる。今回は編集された動画ではないが、封筒や書類の整合性に触れられていないため、一見、事実であるかのようにとれる動画となっている。

英語で投稿されたツイートのみならず日本語で投稿されたツイートも多くのリツイート、いいねを獲得している。SNSは短時間で一気に情報が拡散されることが特徴であるため、間違った情報が訂正されずらい、正しい情報に触れづらいという問題がある。もし企業が被害にあった際にはいかにスピーディーに対応できるかが鍵となるだろう。

 

 

「北海道の中国人技能実習生は1万人以上」「占冠村人口の3割以上が中国人」

北海道の中国人技能実習生は1万人以上であり、とある村では3割以上が中国人であることから宿泊施設が儲かるのではないかと外国人技能実習生の宿泊費全額補助を批判する内容である。

「北海道の中国人技能実習生は1万人以上」「占冠村人口の3割以上が中国人」

 

概要

日付:10月20日
発信者:小野寺まさる氏(元北海道議会議員)
媒体:Twitter
拡散数:Twitterで2,400RT以上
内容:
北海道が外国人技能実習生の宿泊費全額補助する記事を引用し、北海道の中国人技能実習生は1万人以上、占冠村人口の3割以上が中国人とし、中国資本が所有する宿泊施設がぼろ儲けするのではなどと批判。

 

検証結果

【検証】北海道の中国人技能実習生は1万人以上」「占冠村人口の3割以上が中国人」は不正確

元北海道議会議員の小野寺まさる氏は、北海道が外国人技能実習生の水際対策の宿泊費を全額補助するといった記事を引用し、中国の人数、中国資本の宿泊施設の多さを指摘し批判。北海道内の中国人技能実習生は1万人以上と主張しているが、2019年の道内の中国人の技能実習生は3454人(外国人技能実習生全体で11218人)。

また、占冠村人口の3割以上が中国人との主張に関して、占冠村の総人口は1613人(2020年1月1日時点)、中国人は57人(2019年12月末時点、法務省調べ)のため村の総人口に占める中国人の割合は約3.5%と推定される。その後、小野寺氏は「中国人」ではなく「外国人」であったと訂正するツイートを投稿した。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回は「北海道の中国人技能実習生は1万人以上」「占冠村人口の3割以上が中国人」といった具体的な数字がでているため、興味を惹きやすい内容となっている。

このケースから学ぶべき点は数字を用いた情報の重要性である。具体的な情報を公開していくことでファクトチェックが機能して検証がされやすくなる。フェイクニュースやデマ情報に対して具体的な数字を出して反論する、情報を積極的に公開していく姿勢が求められるのではないだろうか。

 

 

大阪都構想 コスト1,340億円

大阪都構想のおいてコストが1,340億円もかかるという情報である。

大阪都構想 コスト1340億円

 

概要

日付:10月20日
発信者:大阪都構想反対派
媒体:チラシ
拡散数:ー
内容:大阪都構想の反対派がコストは1340億であると主張

 

検証結果

【検証】大阪都構想 コスト1340億円は不正確

大阪都構想の是非を問う住民投票に関し都構想の「コスト」として推進派は241億、反対派は1340億と異なる数字を主張した。推進派が根拠としているのは大阪市が作成する説明パンフレットで、コストを241億円としている。

1340億円という数字は公的資料には示されておらず独自に算出している。協定書では特別区設置時の新庁舎建設を前提としていないが、この1340億には2つの特別区での新庁舎建設経費を独自に算入している。

今回の住民投票の目的が「協定書の内容について賛否を問うもの」であり、その協定書の内容を前提としていない主張は不正確な要素が交じっているといえる。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

チラシが情報源となっているケースである。TwitterやYouTubeなどのSNSが発信源となるケースが多いが、チラシが発信源となるケースはそこまで多くはない。チラシであったとしても情報が拡散するのはやはりTwitterであることを鑑みると、今回のケースもTwitterのモニタリングが肝要である。

今回は少し特殊だが、紙媒体からネットへ情報が拡散していくという流れも想定しておくべきだだろう。

 

GoTo人件費「大手出向社員に日当4万円」

GOTOトラベルキャンペーンにて事務局に出向している社員に支払われる日当が高すぎると話題になった事案である。

GoTo人件費大手出向社員に日当4万円、7万円は高額と批判

 

概要

日付:10月14日
発信者:週刊文春
媒体:週刊誌
拡散数:Yahooニュースの公式アカウントの投稿に対し6633RT
内容:GoTo人件費大手出向社員に日当4万円、7万円は高額と批判

 

検証結果

【検証】GoTo人件費4万円に対し「日当」という表現はミスリード

Gotoトラベルキャンペーンにて事務局に出向する大手社員に支払われる日当が4~7万円」などと報じられ、「高すぎる」「国民の理解得られぬ」と批判が相次ぎ一時トレンド入りもしている。

4万円には社会保険などの諸経費が含まれており、実際に給与相当額として派遣元に支払われる額はその4割~5割になるとされ、日当という表現はミスリードといえる。

人件費が支払われる対象になったのは、6937人で、支払いの平均額は約4万円であり、その数字が4万円と報道されたが、実際には以下の項目が含まれる。

 

①基本給相当額

②諸手当(役職、資格、通勤、住宅、家族、その他)

③賞与相当額

④事業主負担額(退職金積立、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、 労災保険、介護保険、児童手当)

 

野党議員からも「ミスリード」との指摘があがっている。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回のケースは企業にとって注意が必要な事案である。

週刊文春の記事内には「業界最大手のJTBを筆頭に、近畿日本ツーリストを傘下に置くKNT-CTホールディングス、日本旅行、東武トップツアーズという大手旅行代理店4社。」と記載があり、具体的な企業名が公開されている。現政権に向けた批判が多いが、一部では企業名をあげて批判するような投稿も見られている。

何かのフェイクニュース・デマ情報から飛び火するケースというのも珍しくはない。企業として、ネット上で話題になっている自社に関連性がありそうな情報やトレンドを注視し、飛び火するリスクを想定しておく必要がありそうだ。

 

この記事を書いたライター