2020.12.01

話題の疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)まとめ|コロナにかかると永遠に献血拒否/コロナの重症者数 大阪は東京の2倍/大阪府の病床使用率102%・外国人の生活保護年間1200億円など(11月下旬)

本記事では、11月後半で話題になった疑義言説をまとめている。
コロナにかかると永遠に献血拒否といった情報、大阪府のコロナ重症者数、大阪府の病床使用率102%、外国人の生活保護年間1200億円などといった話題が注目されたので、概要・検証結果・フェイクニュースから学ぶポイントについて解説する。

なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。

※当サイト及び他のメディアにてファクトチェックが行われた情報をもとに作成。

 

話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)
・一度でもコロナにかかると永遠に献血拒否される
・(新型コロナウイルス)大阪の重症者数は76人、東京の38人の2倍
・大阪府の病床使用率が102%に
・外国人に生活保護を年間1200億円献上

「一度でもコロナにかかると永遠に献血拒否される」

新型コロナウイルスに一度でも感染したら、永遠に献血拒否されるという情報がSNS上で拡散された事案である。

概要

日付:11月22日
発信者:匿名
媒体:Twitter
拡散数:Twitterで210RT
内容:一度でもコロナにかかったら永遠に献血拒否されるって知ってました?

 

検証結果

【検証】「一度でもコロナにかかると永遠に献血拒否される」は不正確

現時点では、新型コロナウイルスに感染した場合の献血は拒否されている。しかし、日本赤十字社のHPなどに「永遠に」といった文言は記載されていない。
あくまでも「現時点での拒否」であり「永遠に拒否される」わけではないため、不正確とした。
現在本投稿は削除されているが、『永遠に、というのは誤りですね。』『超悪質なデマ。永遠に輸血拒否のリソース出してみろ。赤十字のホームページ見ても、永遠だなんて一言も書いてない。』という反論のリプライを多数確認した。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

巷では今、一度でもコロナにかかると一生献血ができなくなるという噂が広まっている。この噂はTwitterにて流れた情報だが、現在その発信源は削除済みで見ることができない。しかし疑問に感じた多くのユーザーはこの発信者に対して多くのコメントを送っている。

事実、たしかに現状コロナにかかると一時的に献血はできない状態ではある。しかしながら多数のユーザーが言うように、コロナにかかることで永遠に献血ができない情報を公式サイトなどで確認してみても見つけることはできない。献血が永遠に拒否されるという確かな情報がない中、情報発信者も予想以上の話題を集めてしまいツイートの削除をしたと推測できる。

何気ない投稿であったとしても、SNSの特性上、ある日突然自分の投稿が拡散する可能性も十分に考えられる。
何らかの情報を発信する際には、根拠となる情報を自身で一度調べてから投稿することが大切である。

 

「(新型コロナウイルス)大阪の重症者数は76人、東京の38人の2倍」

新型コロナウイルスに関して、大阪の重傷者数は東京の2倍であるという情報がSNS上で拡散された事案である。

 

 

概要

日付:11月21日
発信者:志位 和夫氏(共産党委員長)
媒体:Twitter
拡散数:Twitterで1,058RT
内容:大阪の重症者数は76人、東京の38人の2倍、全国最悪の数だ。死亡率も、「第2波」以降で1・24%、全国平均0・95%より高い。大阪では集団感染の7割が医療機関と高齢者施設で起こっているからだ。 政府と府市が一体に、医療機関と高齢者施設への「社会的検査」に本格的に踏み出すべきだ。

 

検証結果

【検証】「(新型コロナウイルス)大阪の重症者数は76人、東京の38人の2倍」は誤り

本投稿では大阪の重症者数は東京の2倍だと述べているが、大阪府と東京都の重症者における定義が異なることを確認した。国の基準で算出した場合、東京都の重症者数は38人ではなく196人である。

このように、定義が異なり、また東京都の定義を国にした時点で196人と大阪府を上回っていることがわかる。(大阪府が独自の基準でいれている「気管の挿管」を含めれば196人以上となる)そのため、大阪府の重症者率が東京の2倍になることはないため、「大阪の重症者数は76人、東京の38人の2倍」は誤りであるといえる。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

本投稿は、特に大阪府民からすればショッキングな情報として目にうつるであろう。現に「関西人辞めたい…」「維新の罪は重い。この時期に大阪市廃止の市民投票をやった問題を検証すべきです。」などと、情報を信じ大阪府を批判する投稿を複数確認することができた。

発信者がどのような思いで投稿をしたかは定かではないが、このような情報をすぐに信じてしまうのではなく、他の意見を確認してみる、自身で調べてみるといった行動が非常に重要になってくる。

 

「大阪府の病床使用率が102%に」

大阪府の病床使用率が102%という情報がSNS上で拡散された事案である。

概要

日付:11月23日
発信者:五百旗頭幸男氏(ドキュメンタリー監督)
媒体:Twitter
拡散数:Twitterで248RT
内容:大阪府の病床使用率が102%に!!

 

検証結果

【検証】「大阪府の病床使用率が102%に」は誤り

発信者が添付している画像は、新型コロナウイルス対策ダッシュボードというサイトから算出をしている。(URL:https://www.stopcovid19.jp/#Osaka)

添付画像の病床使用率102%という数字は、現在患者数 / 新型コロナ対策病床数にて算出されている。現在患者数という数字は軽症者などの自宅療養中の患者数も含まれており、実際に病床を使用している数とは異なる。

102%(現在患者数:2991/新型コロナ対策病床数:2,922)の、現在患者数2,991人のうち、1,245人(22日24時時点)が自宅療養中の患者であり、本来は1746/2922=約60%となる。そのため、「大阪府の病床使用率が102%に」は誤りと判断した。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

誤った情報を受け取り勘違いや誤解してしまう事は、情報が溢れかえっている昨今では避けられぬことかもしれない。しかし、正しい情報か分からないままに、受け取った情報を流してしまうのか、もしくは流さないかは個人の意志によって変えることができる。新型コロナウィルスの情報などのセンシティブな情報は影響力が大きい。特にそのような話題についての投稿は発信側も、受け取り側も慎重になることが必要である。

 

「外国人に生活保護を年間1,200億円献上」

外国人に生活保護として1,200億献上しているという情報がSNS上で拡散された事案である。

 

概要

日付:11月22日
発信者:海乱鬼氏
媒体:Twitter
拡散数:Twitterで7,088RT
内容:GoTo中止で日本人は移動規制でも外国人様はいらっしゃいませ。国費留学制度で外国人様を学費タダで呼び寄せ、税金で月17万円の生活費を渡す。保険料は3年で40%も値上げで、外国人様に医療費を負担して差し上げる。無職の外国人様に生活保護を年間1200億円献上。日本人もそろそろマジでぶちギレるぞ。

 

検証結果

【検証】「外国人に生活保護を年間1,200億円献上」は根拠不明

1,200億円という数字は野田政権の時に自民党の片山さつき議員が参議院予算委員会で発言した内容である。厳密な試算が公開されているわけではないようで、あくまで一つの試算に基づいたものであり、精査が必要な情報である。厚生労働省ホームページに会見の概要がのっている。

https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000184426.html

以上より、1,200億という数字は誤りと証明できないが、証拠・根拠が乏しいために根拠不明と判断した。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

本投稿は7,000件以上のリツイートがなされているが、その投稿に対し発信者がリプライで9件ほど投稿している。そのうち4件は1,000件以上リツイートされるなど、かなりの影響力がある投稿であった。

外国人受給者自体が多いのは事実であり、正確な試算である可能性も否定はできないが、確固たる根拠を明示することが難しい。このような情報に対し、事実だと決めつけて発信することはリスクが伴うことを理解すべきである。
 
 
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編集部

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