2021.01.28

話題の疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)まとめ|強制ワクチン接種/大学入学共通テスト/PCR検査など【1月後半】

まとめ1月後半

本稿は話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いのある情報)をまとめて紹介する企画である。

1月後半はスロバキアの強制ワクチン接種や大学入学共通テストで不正となった受験生、PCR検査の精度に関する話題が確認された。概要と検証結果、企業が学ぶべきポイントを解説する。

なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。

※当サイト及び他のメディアにてファクトチェックが行われた情報をもとに作成。

 

話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)

・スロバキアではワクチンを接種しないと働くことができない
・マスク鼻出しで不正になった受験生は注意に対し「従いたくない」と尾崎豊を流した
・PCR検査 無症状では感度が大幅に落ち、半数以上見逃す

 

スロバキアではワクチンを接種しないと働くことができない

スロバキアではワクチンを接種しないと働くことができず、強制的にワクチン接種が行われていると批判する投稿が拡散した事案である。

スロバキア
Twitterより

概要

日付:1月18日
発信者:アーロン大塚氏(ハワイ州弁護士)
媒体:Twitter
拡散数:Twitter上で500RT以上
内容:「スロバキアでグレートリセット政策が始まり、ワクチンを接種しないと働くことができない。動物実験すらしていないワクチンを強制的に打たれ、死者も出ている」という投稿がTwitterで拡散

 

検証結果

【検証】「スロバキアではワクチンを接種しないと働くことができない」は誤り

アーロン大塚氏は海外のニュース記事を添付し、「スロバキアではワクチンの接種を受けなければ働くことができない。ワクチンによって死者も出ている」と投稿。

しかし、実際にスロバキアで始まったのはワクチンの接種ではなく「全国民抗原検査」だ。
イギリスで変異株が確認されたことで現在行われているロックダウンだけでは不十分と考えたスロバキア政府が全国民を対象に抗原検査を行う。

スロバキアは1月1~24日までハードロックダウンを実施中であり、検査の対象はリモートワークができない労働者となる。
通勤には検査の陰性証明書の携帯が必須で、病院への負担や経済的損失を最小限に抑えるためとしている。

また、医療従事者を中心にワクチン接種も進めている。
先に手配できたファイザー社製ワクチンにて1月15日時点で5万人以上が接種を済ませており、副作用は159件(そのうち重大な副作用は13件)起きているが死者は1人も出ていない。
遅れて到着したモデナ社製ワクチンによって高齢者施設でも順次接種を行っていくとしている。

投稿内容に海外ニュースの情報が添付されていることから、発信者であるアーロン大塚氏はこの「陰性証明書」を「ワクチン接種」と受け取り、どこからか「死者も出ている」としているが、そのような事実はない。

そのため「スロバキアではワクチンを接種しないと働くことができない」は誤りと判定した。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回のケースは投稿内容に英文の海外ニュースが添付されていたことが誤った情報の拡散につながったと推測できる。

英文では一見すると内容が把握できないため、発信者の主張が正しいように思いこんでしまいがちだが、実際はそのような文言はどこにもないといった場合もあるのだ。
自分に関係する内容の場合、主張する内容と、添付されている情報の整合性を確かめる必要がある。

こういったケースは企業も十分に注意が必要だ。
国内向けに発信した情報が海外で思いがけず誤情報のもととなってしまうこともある。
SNSは短時間で拡散されてしまう特徴があり、さらに言語が違えばその事実に気付くのが遅れる可能性も高い。

もし企業が被害に遭った場合は正確で素早い対処が必要になるだろう。

 

 

「マスク鼻出しで不正になった受験生は注意に対し『従いたくない』と尾崎豊を流した」

大学入学共通テストの試験会場にて、マスクの付け方について注意を受けた受験生が「従いたくない」と尾崎豊の曲をスマホで流したという投稿が拡散した事案である。

マスク鼻出し
Twitterより

 

概要

日付:1月18日
発信者:匿名
媒体:Twitter
拡散数:Twitter上で26,500件以上RT
内容:大学入学共通テストにてマスクから鼻が出ていた受験生が監督者の注意に対し「従いたくない」と応じず、尾崎豊の曲をスマホで流したという投稿がTwitterで拡散

 

検証結果

【検証】「マスク鼻出しで不正になった受験生は注意に対し『従いたくない』と尾崎豊を流した」は根拠不明

発信者は事の顛末として、マスクから鼻が出ていた受験生の言動を投稿。
同室の受験生の発言なども織り交ぜながら、該当の受験生が警察官によって退去させられるまでを時系列で追っている。

大学入学共通テストでは新型コロナウイルス感染拡大防止策としてマスクを着用し、「鼻まで覆うこと」としていた。
そのため、該当の受験生は鼻が出た状態のマスクの付け方について監督者より合計6回注意を受けたが従わなかったため、監督者から「次に注意された段階で(試験結果が)無効になる」と告げられた際に「『従いたくない』と言って尾崎豊の曲をスマホで流した」とされている。
該当の受験生の言動や、他の受験生が教室を移動するといった詳細については同室の受験生の証言として綴られているが、“スマホで曲を流した”ことについては触れられていない。

この状況を伝えたとされる情報番組の画像なども拡散されたが、大学入学共通テストを開催した大学入試センターや文部科学省、同室の受験生もそういった“曲を流した”事実は確認していないとのことだ。
情報番組の画像についてはコラージュされたものと指摘し、元になった画像を投稿する人もいた。

マスク鼻出しコラージュ
Twitterより

以上のことから、「マスク鼻出しで不正になった受験生は注意に対し『従いたくない』と尾崎豊を流した」は根拠不明と判定した。

拡散数や引用リツイートが多かったためか、事実を訂正する投稿がないためか収束する様子は見られず、さらなる拡散が続いている。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回のケースはSNS特有の危うさをはらんだ事例といえる。大学入学共通テストという人生を左右しかねない状況で、マスクのつけ方一つで試験が無効になるというニュースは衝撃的だ。第一報ではかなり限定的な情報しか伝わってこず、その処分について賛否が分かれた。

ところが続報で状況は一変する。徐々に詳細が明らかになることでその異常性が判明し、コラージュ画像などが作成される。情報を鵜呑みにし「あるのかもしれない」と、何の根拠がなくても事実として拡散されてしまうのだ。

これは内容の正確性よりもインパクトを重視してしまうSNS特有といえるだろう。

 

PCR検査 無症状では感度が大幅に落ち、半数以上見逃す

新型コロナウイルスに感染していても無症状の場合はPCR検査の感度が大幅に落ちるため、半数以上は陰性と出てしまい見逃すという投稿が拡散した事案である。

PCR検査
Twitterより

 

概要

日付:1月18日
発信者:宮城県新型コロナウイルス情報
媒体:Twitter
拡散数:Twitter上で400件以上RT
内容:PCR検査は感度が7~8割とされているが、これは症状のある人に限ったものであり、無症状の場合の感度は大幅に下がる。そのため、感染していても無症状であれば半数以上見逃す。陰性なら安心できる検査ではないといった投稿がTwitterで拡散

 

検証結果

【検証】「PCR検査 無症状では感度が大幅に落ち、半数以上見逃す」は根拠不明

発信者は新型コロナウイルスに感染していても無症状の場合はPCR検査の感度が大幅に落ちるため、半数以上は陰性と出てしまい見逃すと投稿。

これに対して
「各国の駐日大使館はPCR検査と陰性証明の必要性をアナウンスしてますけど?」
「デマを流す悪質アカウントです。」

といった批判的な反応が相次いだ。

新型コロナウイルスは無症状であっても多くのウイルスが存在しており、厚生労働省は陽性判定にPCR検査を指定している。

編集部でも調査を行った。早稲田大学の現代政治経済研究所の論文によると、無症状者へのPCR検査の正確性に関して、50-100%と記載されている。(P13)

発信者である「宮城県新型コロナウイルス情報」とは、宮城県行政とは何のかかわりもない個人のアカウントで宮城県の公認なども得ていない。ボランティア1人のみで運用しているとも明記されており、主に宮城県内の新型コロナ感染状況などを投稿しているアカウントのようだ。

以上より「PCR検査 無症状では感度が大幅に落ち、半数以上見逃す」は根拠不明と判定した。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回は企業として注目すべきケースといえる。

発信者は自治体のアカウントに見せかけ、無責任な情報を発信しているが、実際は公的機関とは無関係な個人がボランティアで運用している非公式なアカウントだ。その事実はプロフィールにも明記してあるのだが、多くの人はそこまで確認せずにアカウント名やアイコンで勘違いしてしまう。

なかには“なりすまし”のような悪質なものも存在するだろうが、これは自治体に限ったものではない。企業でも十分に起こりうることで、投稿内容によってはイメージダウンも免れないだろう。なりすましアカウントに対して「なりすましだ」と訴えたところで、人に与えてしまった悪いイメージはそう簡単に覆らない。

そういった事態を防ぐためにも、日ごろから自社に関連のありそうな情報には注視しておく必要があるだろう。

 

この記事を書いたライター

編集部

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