話題の疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)まとめ|ニキビの位置で不調がわかる・日本人への帰国命令・日本の病院で中国人コロナ患者の受け入れを行っている等【12月前半】
本稿は話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いのある情報)をまとめて紹介する企画である。
12月前半はニキビの位置による不調の判断やアメリカで日本人に対する帰国命令、中国人コロナ患者の受け入れなどに関する話題が確認された。
概要と検証結果、企業が学ぶべきポイントを解説する。
なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。
※当サイト及び他のメディアにてファクトチェックが行われた情報をもとに作成
・アメリカにいる日本人に 帰国命令が出始めている
・旭川厚生病院 中国人のコロナ患者を40人ずつ受け入れ、陽性者は日本人患者にすり替えられて報告
「ニキビの位置で体の不調がわかる」と図が拡散。専門医「全くの都市伝説」
ニキビの位置で体の不調がわかるという画像がTwitter上で拡散した事案である。
概要
日付:12月7日
発信者:不明
媒体:Twitter
拡散数:Twitterで3,000以上RT
内容:女性の顔のパーツを地図のように分け、ニキビの位置によって関連するとされる体の不調を書き込んだ画像がTwitterで拡散(現在は削除済み)
検証結果
【検証】「ニキビの位置で体の不調がわかる」というのは誤り
おでこはストレスや肝臓腎臓の疲労、左頬は冷えや肩こりなど、ニキビができる位置はその人の体調とリンクしているとして顔のパーツごとに解説された画像がTwitterに投稿され、拡散した。
皮膚科専門医によればニキビは皮膚そのもののトラブルであって、体の不調が表面化してできるものではないとしている。
画像に添えられた文章でも「スキンケアの仕方やよく触ってしまったり髪の毛が触れやすかったりで異なることがあるので参考までに」としているように、科学的根拠に基づいた内容ではないとしているものの、体の不調がわかるという表現は誤りといえる。
疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察
今回は女性にとって身近な肌トラブルと占い要素が含まれていたため、興味を惹きやすい内容となったことが拡散につながった。
TwitterなどのSNSの他にも、Webメディアで取り上げられることの多いニキビと体調との関係性だが、科学的根拠は乏しい。
このケースから学ぶべきことは、根拠のない都市伝説であってもインフルエンサーによって簡単に掘り起こされるという点だ。
若年層は情報源をSNSに頼っていることが多く、フォロワー数の多いインフルエンサーの投稿なら簡単に信じ込んでしまう場合がある。
もし企業に影響がある場合は迅速な対応が必要になるだろう。
アメリカにいる日本人に 帰国命令が出始めている
アメリカにいる日本人に帰国命令が出始めたようだという投稿がTwitter上で拡散した事案である。
概要
日付:12月16日
発信者:匿名
媒体:Twitter
拡散数:Twitterで2,400RT
内容:「アメリカにいる日本人に 帰国命令が出始めている」という投稿がTwitterで拡散
検証結果
【検証】「アメリカにいる日本人に 帰国命令が出始めている」は誤り
発信者は投稿内容に対する情報源などに一切触れていないが、自身の投稿にリツイートする形で「日本政府や公共放送が隠している」「大統領令が発令されたら空港閉鎖になるので帰国できなくなるためでは」との内容も投稿している。
これに対して多くの人が反応し、Twitterで2,400回以上リツイートされた。
日本政府やメディアは自己の利益や保身のためにあえて情報を伏せていると批判的なリツイートが目立つ。
しかし、日本領事館からは何も言われていないとしてアメリカ在住者がこれを否定。
知人がアメリカ在住だという人も、何も聞いていないと投稿内容を否定している。
他にも、どこから得た情報なのか根拠の提示を求めるリツイートも散見された。
また、帰国命令はアメリカ政府から出されたものではなく、所属する組織や会社からの指示なのではないかとの見方をする人もいるようだ。
いずれにせよ今のところ、アメリカ・日本のどちらの政府からも発表はなく、「アメリカにいる日本人に帰国命令が出始めている」は誤りであると言える。
疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察
今回のケースはSNSの拡散力の恐ろしさが垣間見えた事案と言える。
情報源や根拠がまったく示されていないにもかかわらず、あたかも事実であるかのように拡散されるのがSNSの怖さだろう。
しかも、攻撃的な内容や刺激的であればあるほどリツイート数は増加する傾向にある。
気が付いた時には収集不可能なほどまで拡散してしまいかねない。
人はセンセーショナルな話題には飛びつくが、それが事実であるかどうかはさほど興味がない。
企業がこういった事態を防ぐためにはSNS上で自社に関する情報が事実であるかどうかをこまめにチェックする必要があるだろう。
事実誤認となる場合は素早い公式見解を行うといった対応が求められる。
旭川厚生病院 中国人のコロナ患者を40人ずつ受け入れ、陽性者は日本人患者にすり替えられて報告
北海道の旭川厚生病院は中国人コロナ患者を40人ずつ受け入れており、陽性者は日本人患者として報告されているという内容が画像とともにTwitterに投稿され、拡散した事案である。
概要
日付:12月10日
発信者:猫の町氏
媒体:Twitter
拡散数:Twitter上で1,900RT
内容:猫の町氏は「旭川厚生病院が中国人の新型コロナ患者を40人ずつ受け入れている。 そして、陽性者は日本人患者にすり替えられて報告される。全国にこんな病院が、一体幾つあるの」という内容を画像とともに投稿
検証結果
【検証】「旭川厚生病院 中国人のコロナ患者を40人ずつ受け入れ、陽性者は日本人患者にすり替えられて報告」は誤り
発信者である猫の町氏は、取材に応える旭川厚生病院の院長の様子が映し出されたニュース映像の一部画像とともに旭川厚生病院が中国人のコロナ患者を受け入れていると投稿。
加工された画像には「病院側が言うには『40人ずつコロナ患者が増えている』んだって。何で40人ずつなんだろう?って。ちょうど観光バスで運べる人数だからね。すぐわかった。中国人だなって。」と、院長の発言ではない文章が加えられている。
さらに、自身にリプライする形で新型コロナ患者の日本人と国籍不明者を表すグラフを投稿し、新型コロナ患者の8割以上が国籍不明者だと論じている。
グラフには厚生労働省の報道発表資料が使われているようだが、国籍不明者の人数は公表されていない。厚生労働省ではあくまで自治体から寄せられる報告をまとめているだけで、自治体によっては国籍を公表していない場合もあり、陽性者のうち国籍が確認された人以外を「国籍不明者」としている。
したがって「国籍不明者」がすべて、外国籍となるわけではない。
しかし、発信者である猫の町氏は「国籍不明のコロナ陽性者=外国籍コロナ陽性者」と断定し、新型コロナウイルスの感染拡大は外国人によるものとの投稿を続けている。これに対し1,900以上のリツイートがあり、日本政府の方針や感染者の国籍公表を求める声がある。
とはいえ、国際便は欠航しており、旭川市のホームページでは感染者の国籍も公表しており大人数の中国人はいないことからも、旭川厚生病院が中国人患者を40人ずつ受け入れているという事実は誤りと言える。
疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察
この事案では画像やグラフなどとともに投稿されたことで信ぴょう性の高い情報と誤認されやすいというSNSの特徴が見て取れた。
画像や表などは視覚に訴えやすい反面、前後や算出の前提を切り取ることでいくらでも情報操作が可能である。
一見すると信頼できる根拠だと思われるものでも鵜呑みにせず、冷静な見極めが必要だろう。
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