2021.01.21

話題の疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)まとめ|iPhoneの強制アップデート/横浜市の医療崩壊/アメリカ議事堂突入など【1月前半】

まとめ

本稿は話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いのある情報)をまとめて紹介する企画である。

1月前半はiPhoneの強制アップデートや横浜市の医療崩壊、アメリカ議事堂突入に関する話題が確認された。概要と検証結果、企業が学ぶべきポイントを解説する。

なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。

※当サイト及び他のメディアにてファクトチェックが行われた情報をもとに作成。

 

話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)

・Appleが全iPhoneなどのiOS製品へ強制的アップデート アプリが消される
・横浜市は1か月半前に医療崩壊。12月頭からトリアージ。今は救急車よんでも来ない。
・議事堂突入はトランプ演説前の出来事

「Appleが全iPhoneなどのiOS製品へ強制的アップデートを行いアプリが消される」

Apple社がiOS製品利用者のアプリを削除するためにiPhoneなどに対して強制アップデートを行うといった投稿がTwitter上で拡散した事案である。

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Twitterより

概要

日付:1月10日
発信者:匿名
媒体:Twitter
拡散数:Twitterで700件以上RT
内容:「Appleが全iPhoneなどのiOS製品へ強制アップデートを行い、アプリが消されるかもしれない」という投稿がTwitterで拡散

検証結果

【検証】「Appleが全iPhoneなどのiOS製品へ強制的アップデートを行いアプリが消される」は誤り

発信者は「Appleが全iPhoneなどのiOS製品へ強制アップデートを行い、アプリが消されるかもしれない」としたうえで、設定により自動アップデート機能をオフにすると防げると投稿。この他にも、スクリーンタイム機能にて「コンテンツとプライバシーの制限」からAppの削除設定をオフにすることでアプリの削除を回避できるといった方法を紹介する投稿も確認した。

しかしながらiPhoneの「自動アップデート機能」とは、アプリのアップデートがあった際に自動でアップデートが行われる機能であり、アプリを削除することはない。また「スクリーンタイム機能」はあくまでもアプリの利用状況を管理するための機能であり、削除を回避するといった機能は存在しない。
以上のことから「Appleが全iPhoneなどのiOS製品へ強制的アップデートを行いアプリが消される」は誤りと判定した。

このような誤った情報が拡散された背景には、トランプ支持者が集まるSNSアプリ「Parler(パーラー)」というアプリがApple社によって削除されたことが考えられる。Parler(パーラー)に対しApple社は、「24時間以内に不適切な投稿を認めない新たなポリシーを導入しないとApp Storeから削除する」と警告し、実際に削除をした。

GoogleやAmazonもParler(パーラー)に対して同様の動きを見せているが、「Apple社がアプリを削除する」といった誤った情報が拡散された。利用者からは「今後Apple社の製品買いません」「理不尽なことすると、顧客が減るよ。大好きだったけど次回は考えるわ。」などと動揺とともに怒りのこもった投稿が相次いでいる。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回のケースは熱狂的な支持者やファンの悲しみ・怒りの矛先が、企業に向かったケースであるといえる。自身が大切にしているものや信念を侵害されたと感じれば、ネガティブな感情を抱く人も少なくないだろう。トランプ支持者はアプリを削除されることで、自身の信念を侵害されたと捉え、その悲しみや怒りをApple社へとぶつけたのかもしれない。

世界的なシェアを誇るApple社が、利用者の端末に干渉し「強制アップデートする」という情報は、一般的には信じがたい内容であると感じる人のほうが多いだろう。しかしながら誤った情報を鵜呑みにし、実際にiPhoneの設定を変更している人が確認された。万が一企業がそのような状況になった場合、対処法を間違えるとさらなる怒りを買ってしまう恐れがある。どういった対処が好ましいのか、事前の準備が求められる。

 

「横浜市は1か月半前に医療崩壊。12月頭からトリアージ。今は救急車よんでも来ない。」

横浜市は1か月半前に医療崩壊しており、12月からトリアージを開始している。今は救急車を呼んでも来ないし、搬送先がないので救急隊は患者を置いていくこともあるとTwitterに投稿し拡散した事案である。

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Twitterより

 

概要

日付:1月10日
発信者:匿名
媒体:Twitter
拡散数:Twitterで500件以上RT
内容:「すでに横浜は1か月半前に医療崩壊し、12月頭からトリアージが始まっている。救急車を呼んでも来ず、搬送先がないため救急隊は患者を置いていくこともある」という投稿がTwitterで拡散

 

検証結果

【検証】「横浜市は1か月半前に医療崩壊。12月頭からトリアージ。今は救急車よんでも来ない。」は誤り

発信者は、横浜はすでに医療崩壊しており、病状によって搬送や治療の優先順位を決めるトリアージが始まっていると投稿。さらに「救急車を呼んでも来ず、搬送先がないために患者を置いていくこともあるため高齢者がコロナに感染しても入院できずに自宅で亡くなってしまうのに、横浜市長は帯状疱疹で入院できるのはおかしい」と批判した。

これに対し、「12月からトリアージ状態という話は医療従事者からも関係機関からも聞いたことがない」「横浜市内の救急指定病院で働いているが聞いたことがない」「検索してもソースは出てこなかった。12月に横浜市大の教授が医療崩壊防止について会見をしている」といった反応がみられた。
この“横浜市大の教授”とは、横浜市立大学の竹内一郎主任教授のことであるが、2020年12月に行われた会見で、横浜市では医療崩壊を防ぐためにさまざまな解決策を行っていると説明を行っている。

また、医療崩壊やトリアージ、救急車が患者を置いていくなどといった事実はないと医療従事者が投稿している。

当編集部でも調査を行った。

横浜市のホームページに記載されている2021年1月7日の横浜市長コメントによると、
「市内で準備している重症・中等症用の病床500床は、179床が使用されており、稼働率は35.8%となっています」「コロナ禍でも、陽性患者さんの治療と一般診療を両立させ、医療提供体制を維持できています」(※一部抜粋)といったコメントが確認できた。
そのため「横浜市は1か月半前に医療崩壊。12月頭からトリアージ。今は救急車よんでも来ない。」は誤りと判定した。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回は「関係者が意図的に事実を隠している」「一部の特権階級だけが特別待遇を受けている」という興味を惹きやすい内容のため拡散につながったと考えられる。
内容は誤りであるが、新型コロナウイルスの感染拡大という目に見えないものに対する恐怖心を煽るだけでなく、一般市民は治療を受けられない状況にもかかわらず市長は特別待遇だと非難することで注目を集めてしまったようだ。
情報を鵜呑みにせず、事実をしっかり確認することが大切である。

 

「議事堂突入はトランプ演説前の出来事」

アメリカ議事堂への突入はトランプ大統領の演説前から始まっていたとする投稿が拡散した事案である。

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Twitterより

 

概要

日付:1月13日
発信者:匿名
媒体:Twitter
拡散数:Twitterで1500件以上RT
内容:アメリカ議事堂への突入はトランプ氏が演説を行う前の出来事だったとの時系列の画像がTwitterで拡散

 

検証結果

【検証】「議事堂突入はトランプ演説前の出来事」は誤り

1月6日、バイデンの勝利認定を阻止したいとの思惑からトランプ氏は支持者らに議事堂に向かって行進するよう呼び掛けた。その後トランプ氏に扇動された支持者らが米大統領選の審議の最中の議会に侵入するという前代未聞の事件が発生。彼はホワイトハウスでデモ隊が議事堂に突入する映像を目にしていた。

投稿の発信者は、議事堂への突入に関し時系列を記載した画像をTwitter上に投稿。また「議事堂への突入は演説前」「突入時トランプ陣営は突入を見ながらパーティをしていた」といった内容と共に、演説開始を待つ聴衆を映した動画が投稿された。議事堂突入はシナリオがありトランプ氏を貶めるために仕組まれたものだと暗に非難した。この投稿に対し「まさか時系列まで誤魔化して報道するとは」「(トランプ氏は)扇動はしていないわけだ」といった反応が相次いだ。

実際に投稿された動画は、トランプ氏の演説開始を待つ聴衆を映したものであったが突入時の動画ではなかった。
トランプ大統領は突入時、ホワイトハウス内にいたとされている(参考)。
そのため、「議事堂突入はトランプ演説前の出来事」は誤りであると判定した。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回のケースは動画や画像が含まれていることが拡散につながったと考えられる。

すでに周知されている事実をただ文字だけで覆すのは難しいが、そこに画像や動画といった“裏付け”が添付されると多くの人は信じてしまう。しかし、画像も動画も自作可能なうえに編集もできることを忘れてはならない。都合よく並べられているものほど信ぴょう性を疑う必要があるだろう。

これは企業も注意が必要だ。
画像や動画というのは訴求力が高いため、多用する企業は少なくない。ところが簡単に加工できてしまうため、標的になりやすい傾向にある。もし被害に遭った場合は迅速な対応が迫られる。

この記事を書いたライター

編集部

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