2021.01.15

話題の疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)まとめ|東京五輪中止による違約金/新型コロナによる病床数のキャパシティオーバー/デジタル庁の参加企業など【1月前半】

編集部
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3rd Opinion  編集部

3rd Opinion
編集部

まとめ1月

本稿は話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いのある情報)をまとめて紹介する企画である。

1月前半は東京五輪中止による違約金や新型コロナによる病床数のキャパシティオーバー、デジタル庁の参加企業などに関する話題が確認された。概要と検証結果、企業が学ぶべきポイントを解説する。

なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。

※当サイト及び他のメディアにてファクトチェックが行われた情報をもとに作成。

 

話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)

・東京五輪で日本が一方的に中止すると違約金が発生する
・新型コロナ 首都圏4都県は(病床数の)キャパシティを完全にオーバーした
・デジタル庁の参加企業・団体の中に何でHuaweiがある

東京五輪で日本が一方的に中止すると違約金が発生する

「東京五輪で日本が一方的に中止すると違約金が発生する」という投稿が拡散した事案である。


Twitterより

 

概要

日付:1月3日
発信者:匿名
媒体:Twitter
拡散数:Twitter上で688RT
内容:「東京五輪で日本が一方的に中止すると違約金が発生する」という投稿が拡散

検証結果

【検証】「東京五輪で日本が一方的に中止すると違約金が発生する」は不正確。

発信者は「五輪中止はIOC判断。日本が一方的に中止すると違約金が発生する」とし、さらに東京五輪を簡素化した場合は1兆4千万円、中止した場合は4兆5千万円ほどの経済効果が失われるという関西大学の試算結果を投稿。東京五輪開催予定となっている半年後も今の状況な訳がなく、安易な五輪中止を求めるべきではないとTwitter上に主張した。

これに対し700近いリツイート、1,800以上の「いいね」が付けられるなど注目が集まった。
一方で以下のような反論するツイートも確認した。

「日本側から中止を言い出すと、IOCに対して1000億程度の違約金が発生するという説があるが、HCC(開催都市契約書)にそのような記述はなく、都市伝説程度の話に過ぎない。」

といった“違約金”は存在しないという投稿や、

「『オリンピック中止を日本から言うと違約金を払わなければならないので、IOCが言い出すのを待ってる』はデマです。正確にはIOCが中止を言い出しても、IOCの損失は全て日本が補填する義務があります。どんな状況でもIOCが損しない契約書にサインしてるのです。」

といった“違約金はデマであるものの損失の補填は行う必要がある”と主張する投稿が見られた。

東京が2020大会の開催都市に決定した際に、東京都、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、国際オリンピック委員会(IOC)の3者で締結した契約(開催都市契約)には、違約金の発生は記載されていない。しかしながら「9.IOCに対する請求の補償と権利放棄」項目にて、開催都市はあらゆる損失や費用について補償するとの記載がある。

よって、東京五輪中止による損失について開催都市である東京都は何らかの補償をしなければならないことは事実のようだが、違約金が発生するという点は明記されていない。そのため「東京五輪で日本が一方的に中止すると違約金が発生する」は不正確であると判定した。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

新型コロナウイルスの感染拡大が原因でオリンピックが延期になったという特異性から、予定通り開催できるのか、不安視する声が多いために起こったケースだ。

工事の遅れや気候など諸々の問題がありつつも、毎回大成功を納めてきたオリンピックは戦争などを除けば中止となった前例がない。そのため、中止になるとどうなるのか誰も知り得ないのだ。
多くの企業や団体が関わる世界的なスポーツイベントなのだから中止となれば当然、違約金が発生するだろうといった憶測から情報が飛び交うこととなった。

これは企業でも学ぶべき点がいくつかある。

常にスムーズに進む物事が遅延したらどうなるか、不測の事態に備えておくことは重要だ。
また、その際にどういった発信を行うかまで事前に検討しておくことで、誤った情報が独り歩きすることを防ぐことができる。
ここで後手に回った印象を与えてしまうと今後の信用にも影響が出るだろう。

 

新型コロナにおいて首都圏4都県は(病床数の)キャパシティを完全にオーバーした

新型コロナウイルスの感染拡大により首都圏4都県が病床数のキャパシティをオーバーしたという情報が拡散された事案である。


Twitterより

概要

日付:1月2日
発信者:匿名
媒体:Twitter
拡散数:Twitter上で7,399RT
内容:新型コロナ対策病床数において「首都圏4都県は(病床数の)キャパシティを完全にオーバーした」との投稿が拡散

 

検証結果

【検証】新型コロナ対策病床数において「首都圏4都県は(病床数の)キャパシティを完全にオーバーした」は不正確

発信者は、厚生労働省や各自治体から提供されるオープンデータを利用して作成・更新されているサイト「COVID-19Japan新型コロナウイルス対策ダッシュボード」の画像とともに首都4都県について新型コロナ対策病床数はキャパシティを完全にオーバーしたと投稿。

これに対して多くの人が反応し、「重症化しても入院できない可能性があるって事?」「余裕のあるところ(自治体)は稀かも」「少なくとも濃い赤の所は緊急事態宣言出す必要があると思う」といった不安の声が上がった。

しかし、このダッシュボードは見方に注意が必要だ。
47の都道府県ごとに新型コロナウイルス感染症による現在患者数、対策病床数、累積患者数、退院数、死者数を表示し、「対策病床数」を「現在患者数」で割った数字をあくまでも参考値としながら対策病床使用率としている。

ところが、この「現在患者数」にはホテルや自宅にて療養している患者などの、病床を利用していない患者数も含められている。さらに、対策病床数には自治体が療養施設として確保しただけで借り上げているわけではない宿泊施設の部屋数が含まれているのだ。対策病床としてすぐに稼働できるわけではなく、見た人に誤解を与えかねない。
よって、このダッシュボードの数字を基に「キャパオーバーした」と判断するのは不正確といえる。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回のケースは注目度の高い「COVID-19Japan新型コロナウイルス対策ダッシュボード」の内容に関する投稿だったため拡散につながったと考えられる。

このダッシュボードは厚生労働省や自治体が公表しているオープンデータを利用して視覚的にインパクトのあるサイトとなっているが、それが拡散の要因の一つであるともいえる。

集めたデータをどう集計するか、割合を出す場合には特に注意が必要だ。データの内容が正確であっても、集計方法によっては正確でない結果になることは十分あり得る。データの出所を気にすることはあっても、集計方法を気にする人はあまり多くないのが現状だ。見る人の多くが誤解を招くような表示方法は企業においても気を付けなければならない。

 

デジタル庁の参加企業・団体の中になぜかHuaweiがある

デジタル庁創設記念イベントの模様がYouTubeにて配信されたが、参加企業・団体の中に中国企業であるHuaweiがあるのはおかしいと暗に批判する内容である。


Twitterより

概要

日付:1月2日
発信者:匿名
媒体:Twitter
拡散数:Twitter上で2,851RT
内容:デジタル庁の参加企業・団体の中に中国企業であるHuaweiが名を連ねているのはおかしいと暗に批判

 

検証結果

【検証】「デジタル庁の参加企業・団体の中にHuaweiがある」は誤り。

発信者は内閣官房IT総合戦略室がYouTubeにて配信した「デジタル庁創設記念-2021年デジタルの日発表イベント」を見たところ、参加企業・団体としてHuaweiの名があるとしてTwitter上に投稿し、中国企業であるHuaweiと日本政府との関係を暗に批判した。

これに対し2,800以上のリツイートがあり、「使いませんは口だけ」「呆れて物も言えない」「もう信用も信頼もできない」といった声が相次いだ。

誤って情報を受け入れ批判的な投稿が多数あるなかで、「希望する企業が登録したから掲載されているようですね。政府が選んだのではなさそうです」「趣旨に賛同した企業なだけで、それ以上の意味はなさそうですね。Webに書いてますね。」といった日本政府の関与を否定する投稿も確認した。

本件に関してはデジタル担当大臣の平井氏本人がTwitterで否定しており、平井氏の事務所もハフポスト日本版の取材に対し、2018年にファーウェイなどを事実上の排除対象とした政府調達方針に則ると説明している。

そのため「デジタル庁の参加企業・団体の中にHuaweiがある」は誤りと判定した。

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

今回のケースは企業も注意が必要な事案だ。

情報を発信する側と受け取る側での齟齬は大抵、情報量の少なさが原因で起こる。
「デジタル庁の参加企業・団体」と「創設記念のイベント賛同企業・団体」では大きく意味が変わってくる。
ホームページ上には政府の関与を否定する旨の記載があるが、配信動画を見た人の中でその旨を確認できた人はそう多くないだろう。

さらに今回のケースではツイート内に動画が埋め込まれていたわけではなく、該当部分を画像として添付していたため誤解が広がった。
こうした結果として意図しない誤った情報の拡散は珍しくなく、企業が情報発信を行う際は丁寧な説明を添えることが重要になってくる。

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