2021.01.19

Twitterで拡散した「東京都が濃厚接触者の追跡調査を打ち切ったために陽性者数は減っているが、陽性率は最大人数時の3.5倍になっている」という情報はミスリード

factcheck

2021年1月13日、Twitter上で「東京都が濃厚接触者の追跡調査を打ち切ったために陽性者数は減っているが、実は陽性率は最大人数時の3.5倍になっている」という情報が拡散した。

情報を発したのは「@savannazzz」というアカウントであり、2021年1月20日の17時14分時点で2,244件のリツイートが行われ、3,641件のいいねを獲得している。調査を行った結果、陽性率の計算に用いている「検査数」が適切でないため「ミスリード」と判定した。

以下、今回の事象について概要及び調査結果を記載している。なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。

 

ファクトチェックの対象

(1/07発表分)※過去最大人数
1/04 検査数 16035 陽性者数 2447
陽性率15.3%

(本日発表分)
1/10 検査数 2684 陽性者数1433
陽性率53.4%

東京都が濃厚接触者の追跡調査を打ち切ったために陽性者数は減っているが、実は陽性率は最大人数時の3.5倍になっているのやばい
(1/13 15:30 「@savannazzz」がツイート)

 

結論

【ミスリード】
「東京都が濃厚接触者の追跡調査を打ち切ったために陽性者数は減っているが、実は陽性率は最大人数時の3.5倍になっている」という内容である。

数値として過去最大の陽性者数であった1月7日と、ツイート投稿日である1月13日の検査数、陽性者数と陽性率が挙げられている。
陽性者数はそれぞれ1月7日、1月13日の数値として正しいものの、検査数は3日前の1月4日、1月10日のものである。それらは都が発表する参考値に過ぎないため、陽性率の計算に用いるのは適切ではない。

また、陽性率とは単純に検査数から陽性者数を割ったものではない。正確ではない陽性率を提示し、最大時の3.5倍になっていると発信しているためミスリードと判定した。

拡散源

対象の媒体:Twitter
対象URL:https://twitter.com/savannazzz
対象ツイートURL:https://twitter.com/savannazzz/status/1349242282868789249
投稿日:1/13  15:30
拡散量:リツイート2,246、引用リツイート216、いいね3,641

ツイートの画像

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Twitterより

拡散要因

  • 新型コロナウイルスの感染拡大が続いているため、関心のある人が多かったこと
  • 同時刻に「東京都の陽性率53%」とのツイートが複数あり、「陽性率53」がトレンド入りしたこと

以上から情報が拡散したと想定できる。

 

拡散経路や時系列の動き

1/13 15:30 当該ツイートが投稿される
1/13 15:39 フォロワー数を6,611人有するアカウントが「東京都感染者1433人。検査件数2684人。陽性率53%」という内容のツイートを投稿
1/13 17:00頃 「陽性率53」がTwitterトレンド入り
1/13 17:12 東京都議会議員(練馬区)のおじま紘平氏(フォロワー数1.5万人)が「陽性率53」を否定するツイートを投稿
1/13 21:28 フォロワー数を9,614人保有するアカウントがリツイート

 

当該ツイートが投稿された後、同日に複数のアカウントが「東京都の陽性率53%」という内容のツイートを投稿していた。そのため、同日17:00頃には「陽性率53」がTwitterトレンド入りし、当該ツイートが多くの人の目に触れることになったと考えられる。

その後、17:12に東京都議会議員のおじま紘平氏がトレンド入りした「陽性率53」を否定するツイートを投稿している。

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Twitterより

しかし、センセーショナルな内容だったためか最初にツイートされた投稿をはじめとした「陽性率53」の投稿はリツイートされ続けていたことが確認できた。

投稿分析

調査概要

「東京都」「陽性率」AND「濃厚接触者の追跡調査」「3.5倍」で検索を行い、拡散されている投稿やキーワードを調査した。

■調査ツール:TDSE提供のソーシャルアナリティクスツール「Netbase」を使用
■調査対象:「東京都が濃厚接触者の追跡調査を打ち切ったために陽性者数は減っているが、実は陽性率は最大人数時の3.5倍になっている」という内容に関する投稿
■調査キーワード:「東京都」「陽性率」AND「濃厚接触者の追跡調査」「3.5倍」
■調査期間:1/9~1/18
■取得言語:日本語

※Decahoseとは、ツイートデータの10分の1の母集団のこと。10分の1のデータを実態に近い数値にスケーリング(拡張)して調査。
※その他の仕様は「Netbase」の仕様に準拠。

以下は投稿数推移であり、13日に投稿数が急激に増加していることがわかる。

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※調査概要を基に編集部作成

拡散ツイート

1月13日 15:30「@savannazzz」によりツイートされた後、複数のアカウントで東京都の陽性率が53%という内容が投稿された。
その中でも、フォロワー数6,611人を有するアカウントの投稿が注目を集めたと思われる。1月20日 17:14現在で2,442件のリツイート、329件の引用リツイート、3,411件のいいねを獲得している。

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Twitterより

 

サイト別分析

Twitterにて最も多くの投稿数が確認されたが、Twitter以外の媒体を確認すると、「2ちゃんねる」で関連投稿が多く確認された。

「2ちゃんねる」では1月13日 15:16に「東京 +1433 検査数2684 陽性率53.39%」というスレッドが立ち上がっていたが、スレッド内にて「陽性率間違っとる」や「陽性率は1/11時点で14.1%や 三日前の検査数と今日の陽性数で計算するな」といった声が見られた。ドメイン

※調査概要を基に編集部作成

 

調査結果詳細

調査したところ、リプライ及び引用ツイートに参考情報が見られた。

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Twitterより
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Twitterより

当該ツイートにある陽性者数は1月7日、1月13日の数値として正しいが、検査数は、陽性者数の日付から3日前の日曜日の数値である。そのため、「3日前の検査数から今日の陽性者数を割っても意味がない」や「陽性率は7日間平均で見るべき」といった意見があった。

JX通信社の細野雄紀氏は、「水曜日の陽性者数を、休みの医療機関が多いため少ない日曜日の検査数で割ったら高水準になるのも当然であり誤解を招く表現」としている。

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Twitterより

東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)によると、
陽性率とは「陽性判明数(PCR・抗原)の移動平均/検査人数(=陽性判明数(PCR・抗原)+陰性判明数(PCR・抗原))の移動平均によって求められる数値である。
当該ツイートの陽性率は陽性者数/検査数となっているため、計算方法が適切ではないことが判明した。

なお、同サイトで発表されている陽性率は
1月7日:14.5%
1月13日:13.2%
であるため、「陽性率が3.5倍になっている」とは言えないことが判明した。

結論

当該ツイートに関しては、

①ツイートの内容を否定する情報が複数見られる
②調査の結果、ツイートにある検査数は3日前のものであり参考値である
③陽性率の計算式が陽性者数/検査数となっており不適切である

ことがわかった。

以上から「東京都が濃厚接触者の追跡調査を打ち切ったために陽性者数は減っているが、実は陽性率は最大人数時の3.5倍になっている」については「ミスリード」と判定した。

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