2021.02.09

Clubhouse(クラブハウス)の炎上リスク・デマ拡散リスクを考察

Clubhouse(クラブハウス)の炎上リスク・デマ拡散リスクを考察

Clubhouse(クラブハウス)という音声SNSが話題になっている。

招待制ではあるが、アーリーアダプターを中心に爆発的に利用者が増加している。

 

活用方法や楽しみ方などを模索している段階ではあるが、まだ「リスク」という観点では情報が少ない。

そこで、今後、Clubhouseが発端となる炎上は増加するのか、デマやフェイクニュースの拡散リスクが高まるのか、この2つの観点から「リスク」について考えてみたい。

 

Clubhouseの投稿数

最初にClubhouseの投稿数を確認してみよう。

「Clubhouse」「クラブハウス」で検索を行い、Decahose(※)でTwitterの投稿数を調査した。

■調査ツール:TDSE提供のソーシャルアナリティクスツール「Netbase」を使用
■調査対象:「Clubhouse」に関する投稿
■調査キーワード:「Clubhouse」「クラブハウス」
■調査期間:1/15~2/9
■取得言語:日本語

※Decahoseとは、ツイートデータの10分の1の母集団のこと。10分の1のデータを実態に近い数値にスケーリング(拡張)して調査。
※その他の仕様は「Netbase」の仕様に準拠。

以下は投稿数推移であり、1月27日ごろから投稿数が急激に増加していることがわかる。

クラブハウスの投稿数

※編集部作成

グラフを見ると、2/9にネガティブ投稿が増加していることが分かる。これは、中国でClubhouseが利用禁止になったというニュースが拡散したことが要因である。

ポジティブな内容とネガティブな内容をいくつかピックアップしてみた。

 

ポジティブな話題

・Clubhouseのフォロワーが10万人を超えてました!すごい勢い

・Clubhouseで一番面白かったroomは「賞味期限が15日過ぎている納豆を食うか食わないか」で議論しているroom。 これだよ、こういうのが聞きたかったんだよ。と思った。

・Clubhouse で量子力学の勉強中。 大学以来だな〜。懐かしい!

 

ネガティブな話題

・Clubhouseやめたいけど退会できないという相談を受けた、、、盲点だった。 調べたら、英文メールにて連絡するしかないらしく、それでも退会できる保証は現状ないらしい。 参考メモ

・Clubhouseでコンサル1年目の若者たちが「就活相談」と名打って開いた部屋に、10年選手たちが質問がてら乗っ取ってもはや説教部屋と化している様子がなかなかシュールだなと……

・clubhouse招待詐欺がTwitterで発生。Twitterで「招待します」の呼びかけ、DMのやり取りでコンビニ入金させる。

 

上記以外で気になる投稿

上記以外だと、なりすましの被害にあった人やねずみ講の温床になるのではないかと懸念する内容もみられている。

また、米国在住の@daniel_takedaaさんは以下のようにツイートしている。

クラブハウスのリスク
Twitterより

クローズドなroomが立ち上げられるからこそ、上記のような差別やハラスメントなどには注意が必要そうだ。

 

Clubhouseの炎上リスク

まずは炎上リスクについて考えてみたい。大きく以下の3点が考えられる。

1.機密情報の漏洩リスク

2.不適切な発言が拡散するリスク

3.著作権関連のリスク

まず、共通して言えることは、録音されて晒されるリスクがあるということだ。

利用規約上、録音は禁止されているが、「Tiktok」や「Instagram」がYouTubeに転載されているところを見るとClubhouseで話した内容がどこかに晒されるという可能性は高いと考えられる。

 

週刊誌がウォッチしている

1~3の解説に入る前に以下のツイートを見てほしい。藤田ニコルさんが2021年2月8日にツイートした内容である。

藤田ニコルのツイート
Twitterより

「週刊誌の記事になる」と書かれている。週刊誌などのメディアはすでにネタがないか目を光らせているということだ。

いくら利用規約やルールが厳しくても、メディアは取り上げるということを肝に銘じておく必要がある。

 

機密情報の漏洩リスク

その前提の上で、1個目の機密情報の漏洩リスクをみていきたい。

編集部もClubhouseを利用して色々なroomに入ってみたが、割とフランクな会話が多く、ポロッと会社の重要な情報が漏れてもおかしくはない雰囲気であった。

場の雰囲気に流されてついつい話してしまうという事象が発生しそうだ。

 

不適切な発言が拡散するリスク

2個目の「不適切な発言が拡散するリスク」は言わずもがなだが、Twitterの「バカッター」やInstagramの「バカスタグラム」と同じようにClubhouseで失言をする「バカラブハウス」が出てくることは容易に想像できる。

Clubhouseの音声がYouTubeやTwitterに流出してTwitterで拡散され、メディアが取り上げるという流れになるだろう。

 

著作権関連のリスク

以下のツイートにあるように、著作権関連の炎上が増加する可能性がある。

著作権関連の炎上
Twitterより

音声に特化しているという点では音楽の著作権が問題になる可能性が高い。

実際に、音楽を楽しむroomや生活音を聞くだけのroomなど、音声ではなく「音」自体を楽しむ使い方も出てきている。

「勝手に〇〇さんの音楽を流していた」「〇〇さんの音源使われてますよ」など、権利者とユーザーとの間でトラブルになるケースが増加しそうだ。

 

 

デマ・フェイクニュースの拡散リスク

次にデマ・フェイクニュースの拡散リスクをみていきたい。

Clubhouseは音声に特化していて文字が残らないという点が特徴であり、これがデマやフェイクニュースを助長することにならないか懸念される。

具体的には以下の2点が挙げられる。

 

1.発言の切り抜き、誤った解釈、重要なファクトの見落とし

2.ディープフェイクの拡散

 

それぞれ詳しく解説したい。

 

発言の切り抜き、誤った解釈、重要なファクトの見落とし

「シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所」が2021年1月半ばに公開した「デジタル・クライシス白書2021」の中に興味深いデータがある。

炎上事案を放送・記事化するメディアが2019年の13個から2020年は44個と3倍増となっているのだ。

これはメディア関係者がSNSを定期的にチェックして記事のネタを探し、面白いネタがあれば記事化するという取り組みが増えてきていることを表している。

 

藤田ニコルさんのツイートにもあるとおり、今後、メディアがClubhouseをチェックし、Clubhouse内の発言を放送・記事化することは目に見えている。

テキストが残らないという特性から、一部の発言だけを切り抜いて報道したり、誤った解釈が付け加えられたりする可能性が高いと考えられる。会話の流れだけを聞いていて、重要なファクトが入っていないケースも想定される。

例えば、2021年は新型コロナウイルスのワクチンに関するデマ・フェイクニュースが増加する懸念がある。専門家の意見を聞いたリスナーがワクチンに関する誤った情報をTwitterなどで拡散してしまうというケースが想定される。

 

 

ディープフェイクの拡散

ディープフェイクの拡散はより深刻な事態になると予測できる。

実は、音声合成は既に世に出回っており、少し前から問題視されている事象でもある。

少し前にディープフェイク音声を収録した動画を公開しているYouTubeチャンネル「Vocal Synthesis」が話題になった。

Clubhouseで録音した音声を合成したフェイク動画やフェイク音声が広がる可能性は十分にある。

 

リスクの観点から考える企業向けの活用方法

ここまでリスクについて解説してきたが、企業にとってマイナスなことばかりではない。

例えば、社長が自社のサービスや商品についてユーザーの意見を聞くためのroomを作成して、ユーザーと直接コミュニケーションをとることも可能だ。

表には出てこない「サイレントクレーム」を掘り起こすためのツールとして活用ができる。

 

また、CMやキャンペーンなどの拒否反応調査もできるようになるかもしれない。このように、炎上リスクを低減させるための活用方法を模索してみるのも面白い。

 

総括

Clubhouseを使ってみると分かるが、「確かにこれは便利だ」と感じた。

音声が途切れることもなくクリアに聞き取れて、芸能人の雑談からビジネス向けの内容まで幅広い。

また、バックグラウンド再生ができるため、家事や仕事をしながら聞くこともできる。

 

一方で「遅かれ早かれ確実に炎上するだろうな」とも感じた。テキストが残らないから炎上しないということはない。気になる内容があればTwitterやYouTubeに即座に転載されて拡散するだろう。

 

また、招待制だからか実名登録が多く、プロフィールに所属企業を記載しているケースが多いのも特徴である。個人の発言が企業と結び付けられて炎上するケースも考えられる。

これから、企業担当者はClubhouseのリスクを意識しながら体制を整えていく必要がありそうだ。

 

この記事を書いたライター