2021年5月31日、Twitter上で「コロナワクチン接種後に流産した」という旨のツイートが投稿された。2021年6月18日時点でリツイート数は5,545、いいね数は7,025を記録している。
コロナワクチンの副作用や身体にもたらす影響については、SNSやメディアでも多々議論されている。 2021年6月9日には、首相官邸 新型コロナワクチン情報のTwitterアカウントが「海外の調査によれば、接種を受けた方に、流産は増えていません」と注意喚起を発信している。
調査の結果、妊娠初期に流産に至る確率は約8~15%前後という統計があり、ワクチン注射=流産を助長したとは断定できないため「根拠不明」と判定した。
以下、今回の事象について概要及び調査結果を記載している。なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。
ファクトチェックの対象
「今日、娘はお腹の中で亡くなった子供の流産手術を行う。 娘から「孫がひとり増えるよ!」と連絡があり大喜びしたのも束の間。 コロナワクチン接種を行った一週間後、お腹の中で赤ちゃんは亡くなってしまった。 助産師の娘は感染予防の為に医師とも相談の上で予防接種を行った。 悲しくてたまらない。」
(5/31 10:07 にツイート)
【根拠不明】
首相官邸(新型コロナワクチン情報)の公式Twitterアカウントでは「海外調査によるとワクチン接種を受けた方に、流産は増えていない」と注意喚起を発信。また、妊娠初期の流産率は妊約8~15%前後という統計もあり、「根拠不明」と判定した。
拡散源
対象の媒体:Twitter
投稿日:5/31 10:07
拡散量:リツイート4,951、引用ツイート595、 いいね7,025
ツイートの画像
Twitterより
拡散要因
・発信したアカウントが看護師として病院勤務の経験があったこと
・新型コロナワクチンについての内容であるため、関心のある人が多かったこと
以上から情報が拡散したと想定できる。
拡散経路や時系列の動き
5/31 10:07 | 当該ツイートが投稿される |
5/31 21:14 | フォロワー数を6,777人有するアカウントがリツイート |
5/31 23:53 | フォロワー数を5,946人有するアカウントがリツイート |
6/1 23:13 | フォロワー数を39,148人有するアカウントがリツイート |
当該ツイートの投稿後、フォロワー数千~数万人を有する複数のアカウントにリツイートされていることが確認できた。
投稿分析
調査概要
「ワクチン」AND「流産」で検索を行い、拡散されている投稿やキーワードを調査した。
■調査ツール:TDSE提供のソーシャルアナリティクスツール「Netbase」を使用
■調査対象:「コロナワクチン接種後に流産した」に関する投稿
■調査キーワード:「ワクチン」AND「流産」
■調査期間:5/30~6/4
■取得言語:日本語
※Decahoseとは、ツイートデータの10分の1の母集団のこと。10分の1のデータを実態に近い数値にスケーリング(拡張)して調査。
※その他の仕様は「Netbase」の仕様に準拠。
以下は投稿数推移である。
当該ツイートが投稿された31日に最も投稿数が増加していることがわかる。
※調査概要を基に編集部作成
拡散ツイート
5月31日に本投稿がなされたのち、「不妊ワクチンやん」「妊婦の皆様、 どうかご一読ください」といった投稿が行われ30件以上リツイートされたが、現在はすでに削除されている。
一方で、今回の投稿と同様の内容を記載した新聞に対し「たちが悪い」と反論する投稿が行われ、283件リツイートされている。(6月24日時点)
Twitterより
サイト別分析
Twitter以外の媒体を確認すると、「アメブロ」で関連投稿が多く確認された。
「ワクチンが女性の不妊症を引き起こす可能性がある」「 『コロナ・ワクチン』『死産・流産』で検索してください!!」と訴えるブログ記事が複数確認された。
※調査概要を基に編集部作成
調査結果詳細
当該ツイートのリプライ及び、引用元のリプライを調査したところ、参考情報が見られた。
Twitterより
Twitterより
当編集部でも調査を行った。
妊娠初期の流産の確率は約8~15%前後との統計があり、6~7人に1人は流産を経験する計算になる。
参考
https://www.matono-womens.com/ninp/ryuzan
https://www.kosaka.or.jp/utility/pdf/0101-5.pdf
首相官邸(新型コロナワクチン情報)公式Twitterアカウントでは、ワクチン接種による流産の増加、死亡の原因となる知見は得られていないとコメント。
結論
当該ツイートに関しては、
①ツイートの内容を指摘する情報が見られる
②流産の確率は約8~15%あり、ワクチンが流産を助長させたという根拠がない
③海外の調査でもワクチン接種により流産が増えたという情報はない
以上から「コロナワクチン接種により流産した」という情報については「根拠不明」と判定した。
※シエンプレが扱うSNS・WEBモニタリングサービスの概要資料は以下からダウンロードできます。