2021.08.23

東京オリンピック開閉会式の小山田圭吾氏の辞任劇から考察する 企業がすべき炎上リスク対策とは

東京五輪開会式の小山田圭吾氏の辞任劇から学ぶ 炎上リスクを回避のための対策

東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式おいて、楽曲制作担当に就任していたミュージシャンの小山田圭吾氏が、過去のいじめを問題に辞任を表明した。 

辞任のきっかけとなったのは、25年前の音楽雑誌に掲載されたインタビュー記事。それは、小中学生時代に障害のある同級生に行った肉体的、精神的ないじめをまるで武勇伝のように語ったものだった。

この記事の内容は、国内だけでなく、アメリカやイギリスなどの海外メディアでも大々的に報道され、バッシングの的に。全世界を巻き込んだ大騒動となった。

五輪開閉会式制作メンバーの解任・辞任から見る、企業がすべき人材起や炎上対策」でも取り上げたが、今回はソーシャルリスニングツールを使いグラフや拡散した投稿を調査した。

なぜ、このような事態になったのか。炎上した原因や解任までの時系列、企業がすべき対策などを考察したい。

事前調査の不十分さが大きな要因

実は、小山田氏の過去のいじめ問題はオリンピックをきっかけに初めて注目された訳ではなく、10年以上前から問題視されていた。ファン同士の交流掲示板や個人ブロク、まとめサイトなどで何度も炎上を繰り返していたのだ。

調べれば必ず明るみになる問題だったのにも関わらず、オリンピック組織委員会は「把握していなかった」と明かしている。

事前の調査が不十分だったことにより、小山田氏だけでなく、起用を決定した組織委員会もバッシングされる結果となった。

小山田氏辞任までの時系列

小山田氏の辞任劇はスピード感のあるものだった。

制作チームが発表された7月14日に小山田氏のいじめを問題視するネット投稿が増えはじめ、翌15日の早朝には、彼のwikipediaにいじめに関する記述が追加された。

小山田圭吾」を含む投稿数

※7月14日には204件だった投稿数が翌日の15日には90565件になり、それから一定数の投稿が続いた

15日の正午には東スポWEBが関連記事をアップし、16日に小山田氏がツイッターに謝罪文を掲載。

小山田圭吾氏の謝罪文

※小山田圭吾氏のTwitterより

17日に組織委員会が留任を発表するも、批判は止まらず、19日には辞任を発表した。

炎上の火種はTwitterの投稿

弊研究所で独自に調査した結果、今回の炎上の大きな火種となったのは、ツイッターの投稿であると想定できる。

小山田圭吾辞任関連ツイート

開閉会式の制作チームが発表された直後の15日の早朝には、「学生時代の障がい者いじめを面白おかしくネタにしていた小山田圭吾をオリパラに起用するとか、日本の倫理観大丈夫⁈(7時19分投稿)」というツイートがされ、この投稿に2600いいね、リツイートは1621件(7月25日時点)。

「エグいいじめを嬉々として雑誌で語ってた小山田圭吾が平和の祭典の音楽コンポーザーってご冗談ですか?6時42分投稿」というツイートには、2082いいね、777リツイートと(7月25日時点)、多くのユーザーが共感し、拡散をしている。

また、これらのツイートだけでなく、就任の発表から辞任までのわずか6日間でYahooニュースに掲載された関連記事は200を超えており、世間の関心の高さがうかがえた。

小山田氏の辞任劇から企業が学ぶべきポイント

 小山田氏の辞任劇から学ぶべきポイントは、どれだけ過去の出来事であっても、掘り起こされる可能性があるということ。そして、組織・企業の場合、倫理的問題行動を起こした人物の起用責任が問われるということだ。

こうしたリスクを回避するためには、人として問題行動を起こさないことはもちろん、もし、すでに起こしている場合は、速やかに謝罪をすることが重要である。小山田氏がもし、約10年前の炎上時にオフィシャルな場で真摯な謝罪をしていたならば、このような事態にはならなかったのではないだろうか。

「クリエイティブリスク診断」は必須

組織・企業がすべき対策としては、PRなどに起用を検討する人物の過去の発言や行動などを洗い出し、将来的な炎上リスクまでの予測する「クリエイティブリスク診断」が必須といえるだろう。

クリエイティブリスク診断をすでに行っている企業も多いだろうが、過去から現在まで、ニュースサイトや掲示板、SNSなど、網羅性を持たせ、かつ多角的、客観点な視点からの調査が重要であるため、外部の専門機関に依頼することを推奨したい。
 
 
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