2021.11.30

「育休復帰2日後に転勤辞令」 SNSでパタハラをリークされ炎上 カネカの事例から学ぶ内部告発の危険性と対策

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「コロナワクチン接種禁止」を社員に通達し、炎上したタマホーム株式会社と21人の新卒学生の内々定を取り消して炎上した株式会社BluAge(ブルーエイジ)。

この2つの企業が炎上したきっかけは、いずれも現役社員や関係者による「内部告発」である。そして、両者ともSNSでの「告発ツイート」によって企業の内情が世間に暴露されることとなった。

株式会社BluAgeに事案においては、採用・人事など、企業の組織体制の在り方を批判する声が多く挙がったのことが記憶に新しい。

今回は内部リークによって、採用や人事などの対応や処遇をめぐり、炎上した事例からその影響力や対策法を考察したい。

「夫が育休復帰2日後に転勤を命じられた」と社員の妻がツイート

妻の悲痛な叫びがTwitterに投稿されたのは2019年4月23日。

カネカの炎上ツイート

※Twitterより引用

ツイートによると、夫が育児休暇を取得し、復帰した2日後に転勤を命じられ、有給も取得できないまま退職に追い込まれたという。

夫婦は関東に住んでおり、家を建てたばかり。子供の保育園入園と妻の復職も決定しているなかでの関西への転勤辞令である。さらに辞令発令日から転勤日までの時間の猶予は1ヶ月もなかった。

夫は人事部や上司に相談したものの、希望は受け入れてもらえず、5月末での退職を余儀なくされた。

ツイートのハッシュタグから勤務先が特定される

夫が退職した翌日の6月1日、妻はさらに経緯をツイートした。

そのツイートには、人事部や上司に転勤までの猶予が欲しい旨を相談したものの却下されたこと、有給休暇の申請も却下されられたことが記載されていた。そして、ツイートの最後には「#カガクでネガイをカナエル会社」というハッシュタグが付けられていた。

このタグから、ツイート主の夫は、同キャッチコピーを使用したCMを放送している大手化学メーカー「カネカ株式会社」の社員だったことが判明。

同社に対して、「パタニティ(父性)ハラスメントだ」「有給消化させないのは法律違反」「退職日を会社が指示するはおかしい」などの批判の声とともに、ツイートは瞬く間に拡散・炎上することとなった。

告発ツイートは4万以上リツイートされ、(2019年6月時点)多くの人の目に止まることとなった。

※調査概要を基に編集部作成

■調査ツール:TDSE提供のソーシャルアナリティクスツール「Netbase」を使用
■調査キーワード:「カネカ」「パタハラ」「炎上」
■調査期間:2019/5/31~2019/6/12
■取得言語:日本語
※Decahoseとは、ツイートデータの10分の1の母集団のこと。10分の1のデータを実態に近い数値にスケーリング(拡張)して調査。
※その他の仕様は「Netbase」の仕様に準拠

カネカの対応がさらなる炎上の火種に

パタハラ疑惑で批判されたカネカは、厚生労働省から「子育てサポート企業」として認定されていた。
しかし、騒動の渦中である6月2日に育児休暇制度などを記載したページを自社のサイトから削除したとされている。

制度の概要や取得人員が記載されていたが、そのページが公式サイトから消えていたのだ。

※Twitterより引用

この対応が火に油を注ぐこととなり、批判はさらにヒートアップした。

同社は、システム障害が原因である旨を公式サイトに掲載したが、削除のタイミング的に疑惑の目を向けるユーザーも多かったと考えられる。

そして6月6日に、男性社員の育休復帰後に転勤を命じた件に関して、見解を公式サイトにアップした。
しかし、その内容は、自社の正当性を主張する内容となっており、批判は収まらなかったのである。

カネカの声明
※カネカ株式会社の公式サイトより引用

就職内定を辞退する学生が続出

カネカの炎上は自社の将来を支えるであろう、新卒学生たちの採用にも影響を与えることとなった。

今回の騒動を受け、内定を辞退するという学生たちが続出したのだ。就活掲示板やYahoo知恵袋などに書き込まれた内容は、SNSで拡散された。

カネカの炎上

※Yahoo知恵袋、みん就(みんなの就職活動日記)より引用

また6月9日に出展を予定していた就活イベント「マイナビインターンシップEXPO」では、急遽参加を取り下げることとなった。

株価が時価総額で624億円損失

炎上により、下落したのは企業の信頼性だけではなかった。騒動の影響からカネカの株価は、6月3日に3,615円の年初来安値に。年初来高値の4,535円から2割下落し、時価総額で624億円が消えた計算となる。

内部告発の防止と対策方法

カネカの炎上事案から企業が学ぶべき対策ポイントは、以下の3つである。

1.世論をモニタリングしてメディア対応の方針を早急に決定する
今回の事案に対して、SNSでは「今の社会情勢や世論を汲み取れてない」「男性の育休取得を良しとしない古い企業体質」という声が多く挙がっていた。

WEBモニタリングによって、どのような批判・意見があるのかを把握し、誤解があるならば、その誤解を払拭する対応をしていたならば、炎上は早急に収束できたはずだ。


2.従業員・役員への定期的な研修でネットリテラシーを向上

SNSは匿名性が高いこともあり、従業員が軽い気持ちで書き込むケースが多い。

投稿を防止するには、SNSの危険性や正しい利用方法などを定期的に研修し、全従業員のネットリテラシーを向上させることが重要だ。また、研修に加えて、違反行為のペナルティを記載した雇用誓約書を締結することでさらなる抑止効果が期待できる。


3.炎上を想定した危機管理マニュアルの作成

幅広い世代にモバイル端末がしたこともあり、インターネットとの距離感が近い現代。企業や商品・サービスに対して、何かしらネット上に書き込まれてしまうのは不可避ともいえる。そのため、もしも炎上した場合、社内でどのように対応するのか、各部署の役割や行動、基本的な方針を定めた危機管理マニュアルを制定しておくことで早急な対応が可能だ。

以上の3点は、自社だけでは対応や制定が難しい場合もあるだろう。社内のリソースが足りない場合は専門会社などの外部へ依頼するという方法もある。

 

 

前述した内部告発の防止と対策方法にまつわるサービスを含め

シエンプレが扱うSNS・WEBモニタリングサービスの

概要資料は以下からダウンロードできます。


 

 

SNS/WEBモニタリングサービスの概要資料