2020.10.21

GoTo人件費「大手出向社員に日当4万円」という表現はミスリード

10月14日、週刊文春から「大手出向社員に日当4万円」といった内容を報じたた。Twitter上で拡散し、Yahooニュースの公式アカウントの投稿は6,600件以上のRTを獲得している

調査を行った結果、4万円には社会保険などの諸経費が含まれており、実際に給与相当額として派遣元に支払われる額はその4割~5割になるとされ、日当という表現はミスリードといえる。

以下、今回の事象について概要及び調査結果を記載している。なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。

ファクトチェックの対象

GoToトラベルキャンペーンの人件費として大手出向社員に日当4万円支払われている。
結論

【ミスリード】4万円には社会保険などの諸経費が含まれており、実際に給与相当額として派遣元に支払われる額はその4割~5割になるとされている。そのため、日当という表現はミスリードであると判定した。

 

拡散源

対象の媒体:週刊文春
対象ツイートURL:https://bunshun.jp/articles/-/40879
拡散元対象ツイート:https://twitter.com/YahooNewsTopics/status/1316295995949424640
投稿日:2020/10/14 17:33
拡散量(11/20 11:50時点):RT4991件、引用ツイート1,619件、いいね5,313件

記事の画像


ツイートの画像

 

Gotoトラベルの運営を担う事務局に出向している大手旅行代理店社員に対し、「本来の仕事が忙しく、事務局での仕事はほぼしていない」「この日当はいくらなんでも高すぎます」などと、GoToトラベルの日当を批判するような内容であった。

週刊文春が発信後、90.9万人のフォロワーを有するYahoo!ニュースの公式アカウントにより上記の投稿が行われ、拡散された。

 

拡散経路や時系列の動き

週刊文春のWebサイト内で記事が14日に公開された後、当日14日にYahooニュース公式Twitterアカウントにてツイートがされている。6,600以上リツイートされ、拡散している。また、翌日15日には再度Yahooニュースから別の記事がリリースされている。

※14日のYahooニュース公式アカウントからのツイートに記載されていたYahoo記事は現在削除されている。

その後、19日にテレビ朝日にてGotoトラベルキャンペーンの日当に関する報道を行い投稿数が増加している。この報道が大きな拡散を引き起こしたきっかけになっていると思われる。

10月14日 - 週刊文春で記事化(Web) 
10月14日 16:01 Yahooニュースが文春の記事を引用した記事をリリース
10月14日 17:33 Yahooニュースの公式Twitter(90.9万)に投稿される
10月15日 8:39 共同通信公式Twitter(27.2万)・共同通信ニュースの非公式Bot(45.1万)に投稿される
10月15日 20:39 Yahooニュースにて記事が投稿される
10月19日 18:46 テレビ朝日にて放映される

※()内の数字はフォロワー数

 

10月14日 16:01 Yahooニュースが文春の記事を引用した記事をリリース

10月15日 20:39 Yahooニュースにて記事化

10月19日 18:46 テレビ朝日にて放映

 

投稿分析

調査概要

「Goto」AND「人件費」「日当」で検索を行い、拡散されている投稿やキーワードを調査した。

■調査ツール:TDSE提供のソーシャルアナリティクスツール「Netbase」を使用
■調査対象:週刊文春が記事化したGoto人件費による影響に関する投稿
■調査キーワード:「Goto」AND「人件費」「日当」
■調査期間:10/12~10/30
■取得言語:日本語

以下は投稿数推移であり20日に投稿数が急激に増加していることがわかる。


※調査概要を基に編集部作成

 

拡散ツイート

10/14(時刻不明)に記事が発表されており、その後17時30分頃に有名ネットニュースメディアの公式アカウントが当該ニュースに言及したツイートをしている。また、20日の18:46にテレビ朝日にてGotoトラベルキャンペーンの日当に関連する報道があり、報道後に関連する投稿の増加を確認した。

 

サイト別分析

Twitterにて最も多くの投稿数が確認されたが、Twitter以外の媒体を確認すると、「爆サイ」と「アメーバブログ」で関連投稿が多く確認された。爆サイは、10/25 23:06に「■goto トラベル 人件費は詐欺か?」というスレッドが立ち上がっており、アメーバブログは10/20 17:47に「★ GoTo事務局で日当7万円 電通、パソナで見られた 中抜きの手法を再現」というタイトルの記事などが複数投稿されている。

 

調査結果詳細

報道された「日当4万円」には基本給相当額や諸手当、賞与相当額や事業主負担額などが含まれ、このうち基本給相当額は40~50%が基本給に当たる。

BuzzFeedの調べによると、提示されていた額はそもそも概算時の単価であり、実際は少ない額になる。事務局の勤務規定が7時間となるため、8分の7掛けされた金額になるという。
つまり、平均4万円の人件費で20日間稼働したとすれば、「4万円×20日=80万円×40〜50%×7/8=28〜35万円」ほどが、出向者に対する平均の1ヶ月あたりの給与相当額となる計算である。

また、日当という言葉は「1日あたりの従業員に支給する具体的な費用」を示すが、Goto人件費が支払われるのは個人ではなく派遣元の会社である。そのため、「日当」という表現は正しくない。21日 20:23にYahooニュースより「Goto事務局日当7万円」はミスリードといった記事が投稿され、多数の引用投稿がなされている。
(参考:https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/goto-nitto)

 

その他、野党議員からも以下の投稿があった。

さらに、ミスリードとYahooニュースが記事をリリースした後の投稿を確認してみた。事案から1ヶ月以上経過しているが、未だに誤解していると見受けられる投稿が多数確認された。週刊文春の記事の共有や、「高い日当」という投稿が複数あった。(12月3日時点)
(検索:「Goto」AND「人件費」「日当」)

ミスリードを含むフェイクニュースよりも事実を伝える情報は拡散されにくいが、誤解したままの人が一定存在してしまうことが分かった。

結論

Yahooニュース公式アカウントによるツイートのコメント欄には「ふざけてる」「国民なめすぎ」などの意見があった。またテレビ朝日が10月19日にネット上にアップした記事で【GoTo事務局で日当7万円 「国民の理解得られぬ」】などと報道され、誤解し怒りをあらわにしている人が多数みられた。一方で拡散初期の段階から「日当という表現は誤り」「高くはない」というコメントも複数確認できた。

調査の結果、19日のテレビ朝日の放映後に投稿数が増加していることから、マスメディアの影響力の大きさを再認した。GoTo人件費は「日当」ではなく、「業務委託の人件費」であり、コメント欄においても誤解をしている人が複数見られることから、GoTo人件費「大手出向社員に日当4万円」という表現はミスリードであると判定した。

 

この記事を書いたライター