Twitterで拡散した「新型コロナ 東京都の陽性率45%」という情報は誤り
2020年12月30日、Twitter上で「(新型コロナの)東京都の陽性率45%」という情報が投稿された。
情報を発したのは「@s_hiroki24」というアカウントである。2021年1月5日の15時20分時点で680件のリツイートが行われ、755件のいいねを獲得している。調査を行った結果、陽性率の計算方法が間違っているため「誤り」と判定した。
以下、今回の事象について概要及び調査結果を記載している。なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。
ファクトチェックの対象
東京都。PCR検査がわずか2,084件なのに、陽性者数は944人。陽性率は45%に達する。
(12/30 15:15 「@s_hiroki24」がツイート)
【誤り】PCR検査数や陽性者数は発表数値であるものの、陽性率の算出方法が間違っているため「誤り」と判定した。
拡散源
対象の媒体:Twitter
対象URL:https://twitter.com/s_hiroki24
対象ツイートURL:https://twitter.com/s_hiroki24/status/1344165289072594944
投稿日:12/30 15:15
拡散量:リツイート680、引用リツイート68、いいね755
ツイートの画像
Twitterより
拡散要因
- ツイートしたアカウント「@s_hiroki24」のフォロワーが1.1万人であること
- 新型コロナウイルスの感染が増加してきたこともあり、関心のある人が多かったこと
以上から情報が拡散したと想定できる。
拡散経路や時系列の動き
12/30 15:15 | 「@s_hiroki24」さんが当該ツイートを発信 |
12/30 | フォロワー数3,378(1/14 14:30時点)の 「@toneunga3」さんがリツイート |
12/30 | フォロワー数3,026(1/14 14:30時点)の 「@Booskachan_Ver2」さんがリツイート |
12/31 8:37 |
「@masan2014」さんがデマではないかと返信
|
拡散される過程では、複数のフォロワー数1,000~3,000人のアカウントにリツイートされていることが確認できた。
投稿分析
「陽性率は45%」「陽性者数は944人」で検索を行い、拡散されている投稿やキーワードを調査した。
調査概要
■調査ツール:TDSE提供のソーシャルアナリティクスツール「Netbase」を使用
■調査対象:「陽性率は45%」に関する投稿
■調査キーワード:「陽性率は45%」「陽性者数は944人」
■調査期間:12/28~1/2
■Twitterデータ:Decahoseデータを100%にスケーリングして使用(※)
■取得言語:日本語
※Decahoseとは、ツイートデータの10分の1の母集団のこと。10分の1のデータを実態に近い数値にスケーリング(拡張)して調査。
※その他の仕様は「Netbase」の仕様に準拠。
以下は投稿数と推定インプレッション数の推移であり、12/30の16時頃から伸びていることが分かる。
※調査概要を基に編集部作成
サイト別分析
※調査概要を基に編集部作成
調査結果詳細
調査したところ、リプライ及び引用ツイートに参考情報が見られた。
Twitterより
Twitterより
当編集部でも調査を行った。
東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)によると、
陽性率:陽性判明数(PCR・抗原)の移動平均/検査人数(=陽性判明数(PCR・抗原)+陰性判明数(PCR・抗原))の移動平均
と定義されている。
単純に陽性者数/検査人数とはならないことに注意が必要である。
2021年1月5日時点の数値は
2020年12月27日検査実施数: 2477件
2020年12月30日新規陽性者数: 944人
となっており、当該ツイートの数値とほぼ同数である。
しかし、上記の計算方法で算出された、2020年12月30日の陽性率は10.1%であり
2021年1月3日 の陽性率は12.9%と発表されている。
陽性率は上昇傾向にあるものの、当該ツイートの45%までには上昇していないことが判明した。
結論
当該ツイートに関しては、
①ツイートの内容を否定する情報が複数見られる
②調査の結果、陽性率の計算方法が誤っており45%とはならない
ということがわかった。
以上から「(新型コロナの)東京都の陽性率45%」は「誤り」と判定した。
※シエンプレが扱うSNS・WEBモニタリングサービスの概要資料は以下からダウンロードできます。