2020.12.18

話題の疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)まとめ|牡蠣の食中毒・新型コロナの患者割合・維新が看護学校を潰している等【12月前半】

本記事では、12月前半で話題になった疑義言説をまとめている。
旬の食材・牡蠣の食中毒に関する情報、新型コロナの感染の割合、維新が看護師学校を潰しているといった話題が注目されたので、概要・検証結果・フェイクニュースから学ぶポイントについて解説する。

なお、発行元のデジタル・クライシス総合研究所はファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)のメディアパートナーに加盟しており、この記事はFIJのレーティング基準に基づいて作成したものである。

※当サイト及び他のメディアにてファクトチェックが行われた情報をもとに作成。

 

話題になった疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)
・牡蠣(かき)を食べるときは殻に口をつけずに食べた方があたりにくい、細菌の多くは牡蠣の“殻”にいる
・新型コロナ感染者、ほとんどが外国人だった
・維新は看護師を「給料が高い」などと攻撃し、看護学校を潰してきた

「牡蠣(かき)を食べるときは殻に口をつけずに食べた方があたりにくい、細菌の多くは牡蠣の“殻”にいる」

「牡蠣(かき)を食べるときは殻に口をつけずに食べた方があたりにくい、細菌の多くは牡蠣の“殻”にいる」という内容がTwitterの投稿が拡散された事案である。

概要

日付:12月7日
発信者:Kikka氏
媒体:Twitter
拡散数:Twitter上で2.4万RT
内容:Kikka氏は牡蠣の細菌は殻に多くいると漁師から聞き、「殻に口をつけずに貝柱を外して食べた方があたりにくい」という内容のツイートを投稿

 

検証結果

【検証】細菌の多くは牡蠣の殻にいるはミスリード

感染対策の専門家である坂本史衣氏は、「牡蠣の食中毒の原因は中腸腺と呼ばれる期間に蓄積されたノロウイルス」というツイートを発信した。ノロウイルスは細菌ではない上に、貝柱を外しても感染する時は感染するとツイートを引用して指摘している。

他にも厚生労働省食品監視安全課の担当者は、事前の衛生管理が食中毒のリスクを左右すると答えている。お店側や食べる人の衛生管理の不十分さが理由に手や食器などに細菌やウイルスが付着する場合がある。そのリスクを考えると、「殻を口につけない=食中毒にならない」という根拠はなく、つけた・つけないかでリスクが下がるわけではないと事案を否定している。


疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

ノロウイルスに関しては国の基準がないため、提供者や食べる人の衛生管理に任されている状況である。提供側は衛生管理の一環として、殻に口をつけない食べ方を推奨していたのであろう。しかし、それが発信者の中で事実を確信させることにつながってしまったようだ。今回は親切心から発信されているが、とても専門的な知識を問われる情報であった。そのため、事実が本当なのか正確なソースを取得した上で、情報発信する必要がある。

 

「新型コロナ感染者、ほとんどが外国人だった」

新型コロナの感染者は国内で増えているが、その感染者のほとんどが外国人という内容のツイートが発信され、拡散された事案である。

 

概要

日付:12月4日
発信者:大澤昇平氏
媒体:Twitter
拡散数:Twitter上で1,749RT
内容:大澤昇平氏は「新型コロナ感染者のほとんど外国人がだった」という内容がグラフ画像と共に投稿

 

検証結果

【検証】新型コロナの感染者の大半が外国人という事実は不正確

ツイートには青が日本国籍、オレンジが国籍不明の人数を示すソースの記載がなく流行曲線の画像がない。数値的に厚生労働省の「国内発生動向」が使われているようだ。この動向は自治体から提供される個票がまとめられており、陽性者のうち国籍が確認された人数が発表されている。

しかし、国籍不明者の人数は公表されていない。では、グラフのオレンジが何を示すかというと、国籍が確認された人数を差し引いた「それ以外」の人数だと考えられる。公表段階でまだ国籍を確認中、または自治体によっては個別で国籍を公表していないケースもあるようだ。そのため、国籍の確認が取れていない場合は、日本国籍の陽性者であってもそれ以外にカウントされる。

その結果、国籍不明の割合が日本国籍よりも上回る結果となっている。12月2日時点で日本国籍が確認されている人数は26,505人であった。そして、外国籍が確認されている人数は1,522人でしかない。厚生省は、この感染状況から「それ以外」の人もほとんどが日本人だと推測しており、感染者のほとんどが外国人という事実は不正確だと言える。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

この事例では、情報の信憑性を与えるような画像が添付されていた。そのため、事実だと思ってしまう人が多いようだ。しかし、ツイートや画像にはソースが一切なかった。さらに、グラフには外国人の数だと断定できる表示もない。一見、信憑性のありそうな画像でも、まずは数字を元にファクトチェックからソースや事実確認を行うことが大切である。

 

「維新は看護師を『給料が高い』などと攻撃し、看護学校を潰してきた」

看護師の給料の高さなどを理由に大阪の看護学校を日本維新の会が潰した、政治と命は直結しているという内容がツイッターで投稿され、拡散された事案である。

 

概要

日付:12月7日
発信者:異邦人
媒体:Twitter
拡散数:3,039RT
内容:異邦人はTwitterで、日本維新の会が「給料が高い」などと攻撃し、看護学校を潰してきたという内容のツイートを投稿

 

検証結果

【検証】維新が看護学校を潰してきた事実は誤り

維新が「看護師の給料が高い」と攻撃した事実は、橋本徹氏がTwitterで給料の見直し問題に対して、民間よりも給料が高い職種例に看護師を挙げていたものだと思われる。つまり、看護師の給料に対して文句や攻撃をしている内容ではなかった。

また、厚生労働省の「看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」によれば、橋本氏が知事に就任する前の2007年の大阪府の看護師学校・養成所の総定員数は11,564人、入学数は4,111人であった。その一方で、2020年の総定員は49%増の17,199人、入学数は30%増の5,330人となっている。

この結果から、維新発足前を比べて大阪府で看護師になった人や目指す人は増加傾向にある。維新が看護学校を潰していれば、総定員数や入学数が増えることはないはずなので、この事案は誤りだと言える。

 

疑義言説(フェイクニュース・デマ情報の疑いがある情報)に対する編集部考察

この事案ではここ最近で話題になった問題も挙げながらの批判であったため、維新が大阪の看護学校を潰しているというデマも信憑性を与えた可能性がある。しかし、ファクトチェックをしてみると、看護師への攻撃や看護学校を潰した事実はないと判断できる。

特定の対象に対して、嫌悪感や不満を持つ民間は多く攻撃的な情報を発信する人も少なくはない。しかし、疑義言説(デマ・フェイクニュースの疑いがある情報)が拡散されたときは、早急に事実の否定を明確な証拠と共に公表していく必要があるだろう。情報を発信する側も感情的になるのではなく、まずは事実を確認した上で適切な情報を発信していかなければならない。
 
 
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編集部

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